個人情報を適正に取得するポイント

個人情報取扱事業者が個人情報を取得する際には、偽りその他の不正な手段により個人情報を取得してはならない。

 個人情報保護法第17条にある「偽りその他不正な手段」とは、個人情報を取得する際に、たとえば社名や目的を偽ったり、子供をだまして取得したり、個人情報を取得することを表示せずウェブサイトにアクセスした者の個人情報を取得することなどである。

 また、本人から同意を受けていないなど、違法な第三者提供であることを知りながら他事業者から個人情報を取得することも不正な手段となる。

 

  • 個人情報の取得に際しての利用目的の通知と公表

 個人情報を取得する際は、本人に利用目的を知る機会を与えることが原則である。利用目的の通知・公表では、書面による直接取得(18条2項)と、それ以外の方法による取得(18条1項)のいずれかによって本人への通知方法や内容が異なってくる。

 

  • 個人情報を直接取得する場合の明示

 本人から書面や電子媒体で直接取得する場合は、本人に対してあらかじめ利用目的を明示しておく必要がある(18条2項)

たとえば、アンケート用紙や契約書、申込書などに個人情報を記入してもらう場合、その書面の裏面に利用目的を明記することが考えられる。その際には、記入欄である表面に、裏面に利用目的の記載があることを明示しなくてはならない。

 個人情報保護法では、「書面」には電子媒体も含むことが明記されているが(18条2項)、ウェブサイト上で個人情報を入力してもらう場合や電子メールで送信してもらう場合にも、入力前や送信前に利用目的を閲覧できるように明示しておく。

 経済産業省のガイドラインによると、同意をする入力画面から1回程度の簡単な操作で利用目的が表示される画面に切り変わるようなリンクやボタンも明示に含まれる。

 

本人に対してあらかじめ利用目的の明示が必要な例

 

  • 利用目的の明示が必要な例①

 「申込書や契約書に記載された個人情報を本人から直接取得する場合」

  • 利用目的の明示が必要な例②

 「アンケートに記載された個人情報を直接本人から取得する場合」

  • 利用目的の明示が必要な例③

 「懸賞の応募はがきに記載された個人情報を、直接本人から取得する場合」

 

  • 個人情報を間接取得する場合

 書面による直接取得以外に個人情報の取得方法がある。

 たとえば、電話による口頭での取得や、名簿業者やパートナー企業などの第三者からの取得、電話帳のような公開情報からの取得など、間接的な取得方法が考えられる。

 これらの個人情報の取得に対して、あらかじめ利用目的が公表されていない場合は、個人情報の取得後、すみやかに利用目的を本人に通知するか公表しなければならない(18条1項)。個人情報を取得した場合には取得後に行動すればよい、というのがポイントである。

 

本人への通知または公表が必要な例

 

  • 本人への通知や公表が必要な例①

「インターネット上で本人が自発的に公にしている個人情報を取得する場合」

  • 本人への通知や公表が必要な例②

 「インターネット、官報、職員録などから個人情報を取得する場合」

  • 本人への通知や公表が必要な例③

 「電話による問い合わせやクレームのように本人により自発的に提供される個人情報を取得する場合」(本人確認や問い合わせに対する回答目的でのみ個人情報を取得した場合を除く)

  • 本人への通知や公表が必要な例④

 「個人情報の第三者提供を受ける場合」

  • 本人への通知や公表が必要な例⑤

 「個人情報の取扱いの委託を受けて、個人情報を取得する場合」

 

間接的に個人情報を取得する場合や、本人に利用目的を通知する場合には、次のような通知の方法がある。

 

本人への利用目的の通知例

 

  • 本人への通知例①

「面談をして、口頭またはチラシなどの文書を渡す」 

  • 本人への通知例② 

「電話で口頭で知らせる」

「電話の自動応答装置などで知らせる」

  • 本人への通知例③

「電子メールやファクスを使い文書を送信する」 

「文書を郵便で送付する」

  • 本人への通知例④ 

「電話による勧誘販売で、勧誘の電話の際に口頭で知らせる」 

  • 本人への通知例⑤ 

「電子商取引で取引の確認を行うために、自動応答の電子メールに記載して送信する」

 

また、個人情報取得をするときの利用目的の公表は、次のような方法で行う。

 

利用目的の公表例

 

  • 利用目的の公表例①

「自社のホームページのトップページから1回程度の簡単な操作で見ることができる場所に利用目的を掲載する」

「自社の事務所内に見やすいようにポスターを掲示する」

 「パンフレットやチラシを常備したり配布する」

  • 利用目的の公表例②

 「店舗販売で、店舗内の見やすい場所にポスターや注意書きによる掲示を行う」

  • 利用目的の公表例③

 「通信販売で、通信販売用のパンフレットに利用目的を記載する」

 

(※ 平成27年11月時点で執筆しております。その後の法改正にご留意ください。)

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