【経営トピックス】 1ページ 「2次会でのセクハラ行為」で「会社の賠償責任」が生じたポイントとは?
平成27年12月22日に福岡地裁は、派遣社員だった女性が、新入社員歓迎会の2次会で男性社員からセクハラを受けたとして、損害賠償を求めた訴訟に対して、セクハラ行為を認定し、その男性社員と会社に損害賠償責任を認めました。
この事件は、新入社員歓迎会の2次会がスナックで開かれ、女性派遣社員がカラオケを歌っているときに、男性社員が女性の太ももを抱え上げ、同僚の前でスカートがずり上がってしまい、性的羞恥心を害したというものでした。
この裁判が話題になった理由は、「時間外」「職場外」「自由参加」の「2次会」で起きた事件で、「会社側の責任」も認定されたからです。「勤務時間外、職場外であっても、新入社員歓迎会の2次会は職務との密接な関連がある」と、裁判所は判断しました。今回、会社側が負う損害賠償責任は、「使用者等の責任」(民法第715条)というものです(下部参照)。
呼びかける人の地位が高いほど職務とみなされる可能性が高まる
このように2次会(3次会)が職務としてみなされるには、ポイントがあります。
●上司や役員等、地位のある者が全員参加を呼び掛けている
●会では仕事の話が中心になっている
上司からの呼び掛けは、断りにくいものです。特にポジションが上になればなるほど「ノー」とは言えません。なので、呼び掛ける人の地位が、組織の中で高ければ高いほど、職務とみなされる可能性が高まるのです。
また、仕事の話を絡ませながらセクハラ行為が展開されると、たとえ職場外でも、時間外でも、2次会でも、職務と密接な関連があると解釈されがちです。すると、会社側の責任を問われてしまいかねません。
新年会、忘年会、歓迎会などの各種懇親会は、従業員同士の親睦を深める効果があり、社内の生産性にも寄与します。しかし、お酒の勢いでセクハラ行為が起こると、被害者は大きな精神的苦痛を受けます。訴訟に発展したら、「セクハラ会社」として全国に報道され、イメージダウンを招きかねません。
会社側はセクハラ行為を「しない」「させない」「許さない」というスタンスを社内にリリースしましょう。どんな行為がセクハラに該当するのか、具体的な言動を例示し、周知徹底するように努めることが大切です。
民法第715条(使用者等の責任)
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生すべきであったときは、この限りでない。
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