【経営トラブル110番】 6ページ システム開発で工数増加分の費用を 元請会社が払ってくれない!

 当社はシステム開発業です。元請の会社からシステム開発の委託を受けました。元請会社の説明では、システムの規模は約3万プログラムステップ、工数は30~35人月と聞いていましたが、実際はそれをはるかに上回りました。工数増加分の費用を元請会社に請求したところ、断わられました。どうすればいいのでしょう?「規模・工数におさまることを約束はしていないし、契約書にも記していない」と、拒否されました。

 この場合、当初見込みの規模・工数について、契約書に明記してあるか否かがポイントとなります。業務範囲の前提条件とする規模・工数を契約書に明記するか、または見込み規模・工数が記載された見積書を契約書に添付していれば、当初見込みを超える工数が必要となったときに増加工数分は契約の範囲外として扱われる可能性があります。

 しかし、契約書に当初見込みの規模・工数の記載がなかったり、見積書の添付がなければ、契約書に記された委託代金は、システム開発業務全体の対価とみなされ、工数増加分の請求が認められない場合かおるでしょう。

仕様変更等の不確定要素がある場合は変更管理手続を規定しておくこと

 今回のようなケースでは、規模・工数について、自分たちでもシミュレーションして、正しい規模・工数と代金を見積もることが求められます。元請会社から得た情報をそのまま信じるだけでは、見込み通りにいかないリスクかおるからです。

 業務に不確定要素はつきものです。どうしても契約締結当時にシステム規模・仕様等の変更・修正が予想される場合には、契約対象とする業務範囲を詳細に定めておき、仕様等が変更する場合の変更管理手続を規定しておくことが求められます。

 変更管理手続とは、合意事項を事後的に変更する必要かおる場合に、変更の理由、変更のために要する費用、変更作業のスケジュール、変更が個別契約の条件(作業期間、納期、委託料等)に与える影響等について、双方が協議し、承認を得てはじめて変更が確定するというものです。両当事者の承認が得られない場合には、作業中断や契約解除ができることが規定されています。

 実際に、契約書にシステムの見込み規模・工数の記載がないために、下請会社からの工数増加分費用の請求が、裁判で認められなかった事例もあります。システム開発の業務を受ける際には、契約書記載内容の確認と、正確な見積もり、不確定要素に対する変更管理手続等が欠かせないのです。

POINT

当初見込みの規模・工数については、契約書に明記するか、見積書を契約書に添付しよう

元請会社から説明された規模・工数をそのまま信じるのではなく、自社でも試算して正しい

見積もりを出そう

不確定要素があるならば、契約に変更管理手続を規定しよう

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