【経営トラブル110番】 6ページ 何度も修正に応じたのに 「請負契約だから」という理由で、 報酬を払ってくれません!

 当社はデザイン事務所です。ある会社の小冊子のデザインを受注したところ、何度も仕様が変更し、修正を強いられました。結局、当初の納期に間に合わず、当社も他の仕事がある関係で、途中でやむなく降板することに。実働分の報酬を請求したら「請負契約だから」という理由で、支払いを拒否されました。

 発注側が「請負契約だから」と主張したのは、契約書にそう書かれているからです。一般的には「業務委託契約」という表現で契約を結ぶことが多いのですが、この「委託」は民法上の用語ではありません。準委任契約か請負契約になります。

 準委任契約と請負契約とは性質が異なります。準委任契約とは、委任をされた側か作業過程に責任を持つ契約です。作業中は、善意のある管理者として業務を実施し、作業期間が終わると契約終了になります。受注側に仕事を完成させる義務はありません。報酬は一定期間ごとに支払われるのが一般的です。

 一方、請負契約は、仕事を完成させることを約束する契約です。受注側には仕事を完成させる義務があります。そのため、発注側が成果物に問題(瑕疵)を発見した場合、受注側に無償で修正することを請求できます。報酬は、成果物を納品し、発注側が検収した後、一括して支払われるのが一般的です。つまり、仕事を最後まで完成させなければ、報酬を請求することができません。

 この場合、請負契約ということなので、成果物がないと、残念ながら報酬を請求する権利がないということになります。

仕様変更時のために「未決事項」を明記

 発注側にしても受注側にしても、業務委託契約を結ぶ際には、準委任契約なのか請負契約なのかを確認し、明らかにしておくことが重要です。

 また、今回のように仕様が何度も変更する際には、契約書に「未決事項」として書面に明記しておきましょう。確定後には変更管理手続にのっとって、両当事者でその確定に伴う影響を検討して、契約条件を修正することが望ましいでしょう。

 ただし、契約上では請負契約と明記されていても、実態が伴っていることが条件です。請負契約なのに、実質上は準委任契約だった場合、裁判で認められないこともあります。

POINT

「業務委託契約」を結ぶ際、準委任契約なのか請負契約なのかを明確にしよう

準委任契約は作業過程に責任を持ち、請負契約は成果物に責任を持つ

仕様変更のために契約書に未決事項を明記しておこう

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