【経営トピックス】 1ページ バーバリーを失った三陽商会に見る「一点集中経営」のリスク
英国有名ブランド「バーバリー」の製造・日本国内販売ライセンスを持っていたことで知られる三陽商会。2015年6月にバーバリー社とのライセンス契約が終了してから、わずか1年で社員の希望退職実施に追い込まれました。三陽商会は前年に比べて4割の減収という見通しから、これまでのバーバリーに集中していた経営ぶりが読み取れます。変化が激しい現代、一点集中経営はリスクが大きいことを示した例といえるでしょう。
三陽商会の売上において、「バーバリー」の売上が大きなウエートを占めていたことは間違いありません。三陽商会としてもバーバリーのみを売上の頼みの綢にするつもりはなかったでしょう。しかし、現在の売上の柱と同等の柱を作ることは容易なことではありません。それでも、バーバリーとのライセンス契約が終了することが決まってから、新ライセンスブランドを発表したのは、少し対策が遅かったと言わざるを得ません。
投資の世界には「卵を1つのカゴに盛るな」という言葉があります。1つのカゴに卵を入れておくと、カゴを落としたときに全部割れてしまうのと同じで、一点集中して投資をすることは危険が高いので、分散させた方がいいという意味です。
ビジネスの世界にも、自社の営業努力ではどうにも変えられない出来事に遭遇する場合があります。例えば、法改正や規制強化(緩和)、異常気象や天災、販売先の倒産などです。特定商品に集中したビジネスを展開していると、これらの出来事が起きたとき、大きな方向転換や業績ダウンを強いられるでしょう。
BSEによる業績ダウンを経て吉野家は「牛丼一点主義」から脱却
大手牛丼店チェーン・吉野家の事例を挙げてみます。2003年に米国でBSE感染牛が確認され、米国牛肉の輸入が停止し、吉野家をはじめとした牛丼店チェーン各社は、米国産牛肉を使用した牛丼販売の休止を強いられました。このとき、吉野家は材料の牛肉を米国産しか扱わず、メニューもほぼ牛丼のみでした。「一点集中経営」が災いし、吉野家が顧客離れと業績ダウンを強いられたのは、記憶に新しいところです。
このように、自社の力だけではどうにもできないアクシデントが起きると、経営に大きな影響が出ます。牛丼販売再開以後、吉野家は牛丼以外のメニューを増やしたり、うどん店、寿司店など牛丼店以外の業態を子会社化するなど、「牛丼一点主義」から脱却し、リスクヘッジを図っています。
天災や事故は予測できませんが、法改正や規制強化(緩和)は前もってわかることです。バーバリー社が世界各国で直営化にシフトしたのは2000年ということから、三陽商会はバーバリーに代わる人気ブランドを剔出する時間があっだのではと推測されます。商品の「一点集中経営」の傾向がある会社はいま一度、主力商品がなくなったときの対策を想定することをお勧めします。
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