【経営トラブル110番】 6ページ 賞与支給日を延期したら、直前に退職した社員から「賞与を支払って」と請求が来た!

当社では毎年12月20日前後に冬の賞与を支給することになっています。しかし、当社の諸事情で、支給日が翌年の2月1日に延期せざるを得なくなりました。2月に入ってから、1月末に退職した社員が「もともとの賞与支給日には在籍していたので、賞与を支払ってほしい」と請求してきました。この場合、退職後で
も払う必要があるのでしょうか?

 結論から言うと、賞与の支給日が毎年12月20日前後と決まっているものの、会社の都合で賞与支給が延期し、退職した社員が支給対象外になったのであれば、トラブル回避のためにも、退職後でも賞与を支給したほうがいいでしょう。
 賞与の支給については、労働基準法によって義務付けられているものではありません。支給額や支給方法、支給日、支給対象者などは、原則として会社が任意に決めることができ、会社の規定によって異なります。
 それゆえ就業規則の「賞与に関する規定」の内容は重要です。ここの記載内容に不備があったり、あまりにも具体的な記載があると、必ずトラブルが発生します。

「賞与に関する規定」で入れるべきこと入れないほうがいいこと

「賞与に関する規定」では支給時期と支給対象期間を明記することが大切です。支給対象期間の記載がないと、対象期間後に入社した新入社員にも賞与を支払わなければならなくなります。まだ賞与資金の調達状況が不安定であれば、「支給日が延期したときの規定」を設けましょう。
 もうひとつ必ず定めることは「支給日在籍要件」です。これがないと、支給対象期間終了後に退職した社員にも賞与を支払うことになってしまいます。一方、「賞与は基本給の3ヵ月分である」というように、賞与の金額に具体的な数字が記載されていれば、その通りに支給する必要があります。業績に関係なく、コンスタントに賞与を支給できる体力がない場合は、「賞与支給の減額、もしくは不支給もあり得る」という規定を記しておくことが安全です。

賞与の支給日在籍要件を設けることでトラブルを回避できる

「賞与は、支給日に在籍している者に対して支給する」という、賞与の支給日在籍要件を設けることは、法的には差し支えないとされています。通常の給与と異なり、賞与については、過去の労働に対する褒賞としての意味合いだけでなく、将来の労働に対する意欲向上や、支給日までの就労を確保する狙いがあるからです。
 いま一度、就業規則の「賞与に関する規定」の内容を確認してみましょう。下部に挙げた項目の記載がない場合は、専門家に問い合わせたうえで、就業規則を整備することをお勧めします。

「賞与に関する規定」で定めるべき主なポイント

●支給時期と支給対象期間
例) 夏季賞与…毎年7月上旬支給(支給対象期間:前年12月1日~5月31日)
冬季賞与…毎年12月上旬支給(支給対象期間:6月1日~11月30日)
●支給日在籍要件
例)「 賞与の支給対象者は、支給対象期間に在籍し、かつ支給日に在籍している正社員に限る」(「支給日以降に退職が予定されている場合は、賞与を減額または不支給とする」という規定を置くことは可能)
●業績に基づく減額、不支給の取り扱い
例)「 企業の業績によっては、賞与の額を縮小したり、または不支給とすることがある」

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