【経営トピックス】 1ページ 大手コンビニでもやってしまう違法行為「欠勤・遅刻の多額罰金」にご注意!
急な欠勤に罰金を科す契約を従業員に結ばせたとして、大手コンビニエンスストア加盟店オーナーが、労働基準法違反で書類送検されました。「急に欠勤したら1回1万円の罰金を徴収」「3回の遅刻で罰金3万円を徴収」というような罰則は、違法行為です。今回の事件をきっかけに、欠勤や遅刻に関する罰則を見直してみることをお勧めします。
給与の基本は「ノーワーク・ノーペイ」
会社側から考えると、従業員の遅刻や急な欠勤は望ましいことではありません。罰則を設けたい気持ちにもなるでしょう。従業員の遅刻に関してペナルティーを設けている会社は少なくありません。「1回につきいくら」という具合に、給与から差し引く会社も存在します。
給与計算の基本原則となる考え方は、「ノーワーク・ノーペイの原則」です。労務の提供が履行されず、それが労働者の責任に帰する場合は、対応する賃金の支払義務も原則として生じません。これは、労働契約法第6条が定める「労働契約は、労働者による労務の提供と、使用者による賃金の支払いとの“双務契約”」だからです。
ただし、「ノーワーク・ノーペイの原則」はあくまでも不就労分に対して賃金を支払う義務が発生しないということです。遅刻等の制裁として、不就労分以上の賃金を控除してもいいという考えではありません。
行政解釈においても、「遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は、制裁とみなされ、労働基準法第91条に定める減給の制裁に関する規定の定めの適用を受ける」としています。もし、減給の制裁を制度として続けるならば、就業規則などに制裁の章を設け、その中に規定するなどの対応が必要です。
ただし、遅刻や早退に制裁を加える場合には、減給額を平均賃金の1日分の半額以内にしなければいけません。1賃金支払期(通常は1ヵ月)の複数回の遅刻等に対する制裁としては、減給の総額が、その支払期の賃金の10分の1以内である必要があります。したがって、それら金額を超えた罰則は法令違反にあたり、その旨が記された就業規則は無効になります。
「10分の遅刻が30分単位に切り上げ」の給与控除は減給に該当する
以上のように、遅刻に関する賃金カットには、遅刻によって勤務しなかった分の賃金を控除する「給与控除」か「減給」による制裁があります。それぞれを区別して制度設計したほうがいいでしょう。
ただし、「遅刻や早退に対して、30分単位で賃金を控除する」というように、実際は10分の遅刻でも、30分遅刻したとみなされ、給与から控除するような場合は、「減給の制裁」にみなされますので、ご注意ください。
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