【労務ワンポイントコラム】 4ページ  社内で発生する前に!パワハラについて労使協定を結んでおこう

都道府県労働局等に寄せられる『いじめ・嫌がらせ』の相談件数は年々増加し、平成28年度は70,917件にのぼりました。パワーハラスメント(以下、パワハラ)が原因で労災補償が発生する件数も増えています。では一体、何がパワハラに該当するのでしょうか? 職場での防止策も考えていきましょう。

そもそもパワハラとは?

 厚生労働省では、『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの“職場内の優位性”を背景に、“業務の適正な範囲”を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』をパワハラと定義しています。一般的に“パワハラ=上司から部下への嫌がらせ”だと思いがちですが、上記の定義を踏まえると、同僚や、部下から上司に対する行為や言動もパワハラに該当するのです。
 では、具体的にどのような行為がパワハラとなるのでしょうか? 厚生労働省では、裁判例などを基に以下の6種を『職場のパワーハラスメントの6類型』と定めています。
①『身体的な攻撃』(暴行・傷害など)
②『精神的な攻撃』(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言など)
③『人間関係からの切り離し』(隔離・仲間外し・無視)
④『過大な要求』(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
⑤『過少な要求』(業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる・仕事を与えない)
⑥『個の侵害』(私的なことに過度に立ち入る)
 これらはあくまで典型的な代表例です。業務上、必要な指示や指導を逸脱して、相手に苦痛を与える行為を行うとパワハラとなります。場合によっては、刑事責任(暴行罪・脅迫罪・侮辱罪など)や民事上の損害賠償を問われることもあるので、常に言動や行動に配慮することが重要です。

会社が講じるべきパワハラの予防策

 企業には、従業員が安全・健康に働けるよう、快適な職場環境を整える義務があります(労働契約法 第5条、労働安全衛生法 第1条・第3条)。つまり、パワハラ対策の策定義務自体はないものの、従業員の快適な労働環境を整備するために、対策を講じることが必要なのです。
 具体的には、まず『ルールを明確化すること』や『相談窓口の設置』が有効です。就業規則に“パワハラの罰則規定”や、“相談者の不利益な取り扱いの禁止”などを定め、従業員への周知を徹底しましょう。相談窓口を設置する際は、相談者のプライバシーを厳守した上で、カウンセラーや産業医、人事担当などが連携して適切な対応ができるよう、フォロー体制を整えておくことが必要です。
 パワハラは、優秀な人材の喪失や職場環境の悪化、企業イメージの低下など、会社にとっても大きなダメージとなります。会社や従業員を守るためにも、労使協定の締結など、あらかじめパワハラ対策を講じておきましょう。

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