【社長が 知っておきたい 法務講座】 5ページ 従業員のメールを閲覧するのは法律違反 !?監視権限とプライバシー権について

業務で使用しているメールを従業員が私的利用することにより、近年、さまざまなトラブルが起こっています。会社の機密情報や個人情報の外部流出などを未然に防ぐため、社長や上司が従業員のメールをチェックすることは可能なのでしょうか?

原則として閲覧は可能

 正当な監視の必要性や目的があり、かつ適切な手段で閲覧するのであれば、社長や上司が従業員のメールを閲覧することは、原則として許容の範囲内とされています。つまり、監視・閲覧について従業員へ事前に周知し、個人情報漏えいやウイルスの感染防止を目的として私的利用の確認をすることは、違法ではありません。ただし、個人的な興味や好奇心で閲覧することは、認められません。
 また、会社のパソコンやメールの私的利用を就業規則で禁じている場合、社長や上司には、従業員が服務規程に違反していないかを確認する権利があります。そのため、従業員のメールをチェックしても問題はありません。

違法行為となる場合も

 ただし、次のようなケースは違法行為となる可能性があるので、注意が必要です。
①メールの内容を本人に無断で公開、または第三者に洩らす行為
 たとえば、他の社員に対して注意を喚起する目的だとしても私用メールを公開してしまうと、プライバシーの侵害になります。また、その私用メールに個人を特定できる情報が記載されていた場合には、個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)にも抵触する可能性があります。
②メールのパスワードを不正に解読し、ロックを外して閲覧した場合
 通常、会社で使用するメールにはパスワードが設定してあります。そのパスワードが社内で共有されているものであれば、解除して閲覧しても問題はありません。しかし、従業員が個人的に設定したパスワードを不正に解除し、閲覧した場合は、不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)に
違反する可能性があります。パスワードが設定されているメールを閲覧する場合は、従業員自身にパスワードを解除してもらうようにしましょう。
 従業員とのトラブルを防ぐためにも、業務メールの使用については、あらかじめ就業規則に以下の項目などを定めておくことが大切です。
①私的利用の禁止 
②監視・閲覧する場合がある旨 
③監視・閲覧する場合の目的
④監視・閲覧する者や方法(誰がどのように閲覧するのか)
 規定の追加など、就業規則の変更にあたっては専門家に相談することをおすすめします。

 

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