【労務ワンポイントコラム】 4ページ 試用期間中社員の解雇には要注意!
会社が新たに従業員を雇う際、その資質や能力、勤務態度などを見極めるため、試用期間を設けることは珍しくないでしょう。仮に、試用期間中に従業員の勤務態度や能力に問題があると判明した場合、その従業員を解雇することは可能なのでしょうか? 今回は、試用期間中の解雇についての留意事項をご説明します。
試用期間中の解雇が認められる事由とは?
“試用期間”とは、“お試しの雇用期間”のことで、新たな人材を採用する際、実際の業務を通して、その従業員の勤務態度・能力・スキルなどから本採用するかどうかを判断するために設けられます。そのため、試用期間中に従業員として不適格であると認められた場合は、労働契約を解除することができます。ただし正当な事由がなければ、会社側が一方的に本採用の取り消しを行うことはできません。
では、“正当な事由”とは一体どのようなことを指すのでしょうか?
過去の判例で試用期間中の解雇の相当性が認められた事由は、下記の通りです。
● 勤務態度が極めて悪い場合
● 正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返す場合
● 経歴詐称があった場合
実は、その社員の能力やスキルの不足という曖昧な理由による解雇は難しく、不当解雇とみなされる可能性が高いです。本採用の取り止めについては“社会通念上妥当である”と考えられるような、客観的かつ合理的な理由が必要になるのです。また、不当な理由による本採用の取り止めについては、『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする』(労働契約法第16条)が適用となる可能性があります。
就業規則への明示が重要
たとえば、試用期間中に遅刻が多かったり、勤務態度が悪い社員の本採用を取り止めにする場合は、就業規則に『試用期間中の従業員が勤務態度の不良などで会社が従業員として不適格と判断した時には解雇する』などの記載をしておくことが必要になります。いくら勤務態度が悪くても、条件提示がないまま本採用を取り止めにすることはできません。
前述したように、試用期間中の本採用への取り止めは、解雇と同様に解釈されるため、解雇予告が必要になるケースもあります。解雇予告が必要なケースは、試用期間が14日を超える場合です。仮に試用期間が3カ月ある場合には、本採用を取り止めるために、少なくとも30日前に解雇予告をするか、30日分の解雇予告手当を支払う必要があります。
態度が悪かったり、著しく能力が不足している従業員を雇い続けると、会社への損失につながりかねません。そうならないような対策は予め講じておきましょう。
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