【社長が 知っておきたい 法務講座】 5ページ 内部通報をしやすくする法律『公益通報者保護法』とは? 

粉飾決算やコンプライアンス違反が引き金となり、倒産に至る企業が増えています。消費者庁では、公益に反する企業を取り締まるべく、企業の内部通報をさらに促す方向で動いています。今回は、通報者を保護する『公益通報者保護法』についてご紹介します。

“内部通報”で未然に事故を防ぐ

 2017年10月に発生した神戸製鋼所の検査データ改ざん事件をご存知でしょうか。基準に満たないアルミ製品などを、検査証明書を書き換え、性能を偽装して納品していたという事件です。この事件は“内部通報”によって明らかになったと言われています。もし内部通報がなければ、実際に大きな事故が起きるまで不正が明るみにならなかったのかもしれません。
 このように、“内部通報”というのは、企業不祥事を取り締まるために必要な仕組みです。そこで、不正を告発しやすい環境を整え、内部通報者を保護するための法律として注目されているのが『公益通報者保護法』です。『 公益通報者保護法』は、働いている従業員(正社員、パート、アルバイトを含む)が自社の不正を通報したために、異動や解雇などの不利益を被らないようにするための法律です。『 公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン』より、ポイントを見てみましょう。
● どんなに小さな企業であっても適用される
● 企業は従業員が内部通報をするための通報窓口を社内に設置し、周知させる必要がある
● 通報窓口に通報してきた通報者の秘密保持、個人情報を保護する
● 通報者には調査の進捗状況、調査結果などを適宜通知する
● 公益通報を理由に通報者に解雇や不利益取扱い(懲戒処分、降格、減給等)をしてはならない

現状の導入率と導入メリット

 平成28年度「民間事業者における内部通報制度の実態調査」では、中小企業の内部通報制度の導入率は約40%だそうです。社内通報窓口の設置は義務ではありませんが、消費者庁は2019年を目処に同法の改正を検討しています。
 また、上記調査により、内部通報窓口を設置したことで、それが従業員等による違法行為への抑止力として機能するなど、一定の効果が得られていることも明らかとなっています。
 内部通報制度には、不正行為の抑止、有事の際の自浄作用、外部通報前に対応が可能というメリットがあります。まだ設置していない場合、法に沿った内部通報制度を設けておくことをお勧めします。

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