【税務・会計2分セミナー】 3ページ  個人事業から法人へ従業員への退職金はどう扱う?

法人成りした際に退職金制度を導入したとします。仮に、個人事業のときから雇用していた従業員が、法人設立後に退職することになった場合、税務上の取り扱いはどのようになるのでしょうか? 今回は、個人事業時代から雇っていた従業員の退職金の扱いについて、ご説明します。

個人事業時代の在職年数は法人設立後の退職金計算に含む?

 その従業員が退職した場合に支払う退職金については、個人事業当時から引き続き在職する従業員が、法人成り後相当期間経過した後に退職する場合、個人事業当時の勤続年数を通算して退職給与を支払うことが認められています(法人税基本通達9-2-39)。
 本来、個人事業当時からの従業員に対する退職金のうち、個人事業当時の勤続年数分は、原則として個人事業主の必要経費になります。
 また、法人成り後の勤続年数分が法人の損金の額に算入されるべきです。しかし、その退職が法人成り後相当の期間が経過した後である場合は、例外として通算して損金の額に算入することが認められています。この“相当期間”は、法律や通達に具体的に定められてはいませんが、一般的には法人設立後、5年間程度とされています(個人事業時代の期間にもよります)。
 なお、法人成り後相当の期間を経過しない段階で退職した従業員がいる場合は、個人事業当時の退職金については、更正の請求により個人事業主の必要経費するべきだと考えます。

従業員の退職所得はどうなる?

 退職所得の計算については『個人事業時代の勤続年数を含めて退職金の額を計算すること』を退職給与規程などに定めていれば、勤続年数の通算が認められます。
 一方、退職給与規程などにより、退職金支払額の計算の基礎とする期間が『法人成りしてからの期間によるもの』とされている場合には、個人事業当時の勤続年数との通算は認められません。そのため、法人成りするときは退職給与規程などにどのように定めるかを留意する必要があります。

事業専従者は要注意!

 ただし、個人事業時に事業専従者だった人への退職金については、“個人事業時の勤続期間”を勤続年数として通算することはできません。あくまでも法人設立の日から退職するまでの期間が勤続年数となります。
 中小企業のうち、約8割が退職金制度を導入しているといわれています。従業員とのトラブルや会計処理上の問題が発生する前に、退職金の算出方法や会計処理の仕方についてご不明な点があれば、専門家へご相談ください。

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