【社長が 知っておきたい 法務講座】 5ページ 『個人の感想です』の注釈だけでは、打消し表示として不十分 !?

健康食品の広告で必ずといっていいほど目にする『個人の感想です。効果には個人差があります。』という文言。法律上どんな意味があるのでしょうか? 今回は、健康食品の広告でよく用いられる体験談の“打消し表示”について、解説します。

健康食品に関する広告規制とは?

 広告は『不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)』という法律によって、以下のような表示の規制がされています。
●商品やサービスの品質・内容などが実際よりも著しく優良であると消費者に誤認させる表示(優良誤認)
●契約条件が実際よりも消費者に有利であると誤認させる表示(有利誤認)
 
 加えて、食品の販売に関する広告については、健康増進法によって以下の表示が禁止されています。

●健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示
●著しく人を誤認させるような表示

 このように健康食品の広告表示にはあらゆる規制があるため、“規制に触れないよう、少しでも効果を訴えたい”という想いから『個人の感想です』という冒頭のフレーズが各社で用いられるようになりました。しかし、消費者庁が2017年7月に公表した『打消し表示に関する実態調査報告書』において、『個人の感想です』という表示は打消し表示としてほぼ認識されていないことが明らかになりました。

個人の感想だけでは打消し表示としてNG!?

 “打消し表示”とは、広告における商品やサービスの特長をアピールした“強調表示”について、例外や制約などの条件がある場合に明記する但し書きのことです。適切に表示されていなければ消費者に誤認を与えるため、景品表示法違反となる恐れがあります。では、なぜ個人の感想だけでは“打消し表示”として不十分な可能性があるのでしょうか?
 それは、広告を見た消費者が“自分にも効果がある”といった認識を抱くと考えられるためです。

体験談だけではなく、条件も明記すべし

 前述の報告書では、今後、体験談を広告に使う場合、事業者が行った商品の効果・性能に関する調査内容について、以下の内容を明瞭に表示すべきだとしています。

●被験者の総数
●体験談と同様の効果・性能などが得られた被験者が占める割合
●体験談と同様の効果・性能などが得られなかった被験者が占める割合

 仮に、体験談と同様の効果・性能などを全く得られなかった人が相当数いるにも関わらず“効果があった”という体験談を表示した場合、景品表示法上違反となる恐れがあります。消費者の誤解を招く広告表示をしないためには、自社の商品やサービスの効果・性能に適した表示をすることが大切です。広告の表示規制についてご不安な点がありましたら、専門家へご相談ください。

ご相談予約専用フリーダイヤル(携帯・PHSでもどうぞ)0120-066-435 無料相談受付中
  • メールでのご予約はこちら
  • ご相談の流れはこちら

新着情報・セミナー情報

NEWS LETTER バックナンバー