【社長が 知っておきたい 法務講座】 5ページ もし冤罪事件で逮捕されたら……身体拘束はいつまで受ける?
電車の中で痴漢に間違われるなど、誤認逮捕や冤罪はいつ誰にでも降りかかる恐れがあります。では、万が一逮捕されてしまったら、いつまで身柄を拘束されるのでしょうか? 今回は、逮捕された場合の“身体拘束の流れ”について、ご説明します。
(1)逮捕により拘束される時間
逮捕により拘束される時間は、刑事訴訟法によって定められています。警察官は、逮捕してから48時間以内に釈放または検察官に送致(※1)しなければなりません(刑事訴訟法203条)。
そして検察官は、被疑者を受け取ったときから24時間以内、かつ逮捕時から72時間以内に釈放または裁判官に対し勾留を請求する必要があります(刑事訴訟法205条)。
このことから、“逮捕”により拘束される時間は最大で72時間(3日間)です。しかし、72時間以内に釈放されるということではありません。
(2)勾留により拘束される時間
拘束が長くなるのは、逮捕ではなく、検察官が請求し裁判所が認める起訴前の“勾留”という身体拘束が要因です。
検察官は勾留請求をした後、“勾留請求した日から10日以内”に公訴を提起(※2)か、釈放、または勾留延長(最大10日)を裁判所に請求します(刑事訴訟法208条)。万が一、公訴提起をされた場合は、保釈(刑事訴訟法88条など)されない限り、事実上裁判が終わるまで釈放されません(刑事訴訟法60条)。
(3)逮捕後の流れ
仮にAさんが平成30年7月15日午前1時30分に逮捕されたと想定して、一般的な流れを考えてみましょう。
警察官は7月17日午前1時30分までに検察官にAさんを送致しなければなりません。なお、送致を完了するには、Aさんを移動させる時間が必要なうえ、深夜に送致するのは大変です。そのため、警察官は16日午後1時にAさんを検察官へ送致しました。
検察官が送致を受けたのが同日午後1時30分だとすると、検察官は17日午後1時30分までに裁判所に何らかの請求(勾留または公訴提起)をしなければなりません。そこで検察官はAさんの勾留請求を16日午後6時に行いました。
裁判所は、原則として勾留請求の翌日に勾留について判断する運用となっています(東京地裁の場合)。なお、検察官の勾留請求は認められることが多いようです。
そのため、Aさんは7月17日から10日間(初日参入)である7月26日まで身体拘束を受けることになります。仮に検察官が起訴するとなると、さらに裁判が終わるまで拘束が続きます。
このように、一旦逮捕されてしまうと最低でも72時間、多くの場合10日間、身体拘束を受けることになります。誤認逮捕や冤罪は、いつ誰にでも降りかかる可能性があります。日頃から法律の基礎知識を身につけ、万が一の場合の対応策を心得ておくことも大切です。
※1 検察官に証拠とともに被疑者(逮捕された人)を送ること。
※2 起訴すること。
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