【経営なんでもQ&A】 7ページ ヘッドハンティングの際に注意すべき点は?
Q ライバル会社の、営業成績トップのエース社員と接触する機会がありました。彼を当社にヘッドハンティングしたいと思うのですが、気をつけることはありますか?
A ヘッドハンティングは、在職中の労働者に対して、在職先とは別の使用者との間で労働契約を締結するよう、労働者に働きかける行為であり、原則として適法なものです。もっとも、ヘッドハンティングの方法によっては、例外的に違法であると判断され、引き抜かれた会社に損害の賠償をしなくてはならない場合もあります。
社会的相当性を逸脱した場合は違法になることも
ヘッドハンティングは原則として適法な行為です。しかしながら、『ある企業が競業企業の従業員に自社への転職を勧誘する場合、単なる転職の勧誘を越えて社会的相当性を逸脱した方法で従業員を引き抜いた場合には、その企業は雇用契約上の債権を侵害したものとして、不法行為として右引抜行為によって競業企業が受けた損害を賠償する責任がある』とされています(東京地方裁判所平成3年2月25日判決)。
この事件は、ある企業が競業企業の幹部従業員と共謀して、競合企業の一大プロジェクトに関わる人間を一度にまとめて引き抜いたという事案で、競業企業の幹部社員と、引き抜きを行った会社が共同不法行為責任を負うとされました。
この裁判例では、引き抜きをされる会社に在籍している従業員が、退職前に引き抜き行為を行うことが違法であるかどうかは、
1.転職する従業員のその会社に占める地位
2.会社内部における待遇および人数
3.従業員の転職が会社に及ぼす影響
4.転職の勧誘に用いた方法等諸般の事情
以上の点を総合考慮して判断するとされています。
そして、従業員が退職後にそれらの従業員を受け入れる会社(ヘッドハントをした会社)が、上記の引き抜き行為に積極的に関与をしている場合には、違法な引き抜きを会社も一緒になって行ったと評価され、共同不法行為責任を負うこととなります。
万が一、損害賠償請求を受けた際の金額は?
では、実際にライバル会社から損害賠償請求をされてしまった場合、請求額はどの程度になるのでしょうか?
案件によってその額は変わってきますが、ヘッドハンティングを受けたことで得られたはずの利益が得られたなかった場合には、その損失額が原則となります。しかし、新たな採用コスト、社員の育成費などが考慮されることもありえます。
上記の裁判例では、ヘッドハンティングがなされた後1か月の減収額から、引き抜きをされたことにより支払いを免れた人件費を控除した金額が損害額として認められています。
他社の社員をヘッドハンティングする際には、方法等によりリスクが伴うことがあります。ヘッドハンティングを行う際は、プロのエージェントを介するなど、できるだけトラブルにならない方法で進めていきましょう。
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