【データで見る経営】 2ページ 過労死はなくなるか?今なお続く“時間外・休日労働”
規定の時間を超えた長時間や時間外の労働を強いられ続けることは、深刻な心身の健康被害をもたらしかねず、ときには死亡や自殺のリスクを引き上げるものとして問題視されています。しかし、なかなか早急な解決には至っていないのが現状です。根本的な是正、改善に向けて、企業は何を重要視すべきなのでしょうか。
最新の監督指導結果から浮かび上がる実態
2018年6月『働き方改革関連法案』が成立し、政府は長時間労働の削減に向けて動いていますが、過労による病死や自殺のニュースは後を絶ちません。
同年8月に厚生労働省は『長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果』を公表。前年度に監督指導を実施した25,676事業場のうち、約70%に当たる18,061の事業場でなんらかの労働基準関係法令違反があり、約45%に当たる11,592事業場で違法な時間外労働の事実がありました。このうち、時間外・休日労働が最も長い労働者の時間数をみると、月に80時間を超えるものが8,592事業場(74.1%)で、100時間を超えるものが5,960事業場(51.4%)でした。
時間外・休日労働が月に100時間を超える、あるいは2~6カ月間の平均が月80時間を超えると、脳疾患や心臓疾患の発症との関連性が強くなることが、医学的に認められています。そのため、月に80時間の時間外・休日労働は“過労死ライン”と呼ばれることがあります。 今回の指導で、違法が認められた事業場には是正勧告書が交付されましたが、今なお多くの事業場で長時間労働が行われている現実を示した結果となりました。
過労死を防止する企業のコンプライアンス
厚生労働省は“過労死ゼロ”を目標としていますが、実際に雇用する側である企業が真剣に取り組まない限り、達成されることはないでしょう。実際、過重労働によって従業員の健康が損なわれることは、企業にとってもデメリットしかなく、労災や訴訟のリスクも発生してしまいます。
では、事業主はどのような対策を行えばよいのでしょうか?たとえば、次のような取り組みがあげられます。
・長時間労働の削減
・賃金不払残業の解消
・メンタルヘルス対策の積極的な推進
・働き過ぎによる健康障害の防止
・職場におけるパワーハラスメントの予防と解決
・有給休暇の取得促進
・上司、同僚、専門家への相談体制整備
日本の長時間労働者の割合は欧米諸国に比べて多く、過労死の防止は、喫緊の課題となりました。 ワークライフバランスを意識した働き方の見直しは、企業価値を上げ、人材確保にもつながります。
最も重要なことは、労働基準や労働安全衛生に関する法令を、企業が遵守することと言えるでしょう。
2017年4月から2018年3月にかけて労働基準関係法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場18,061事業場(全体の70.3%)のうち
違法な時間外労働があったもの 11,592事業場(45.1%)
うち、月80時間を超えるもの 8,592事業場(74.1%)
うち、月100時間を超えるもの 5,960事業場(51.4%)
うち、月150時間を超えるもの 1,355事業場(11.7%)
うち、月200時間を超えるもの 264事業場( 2.3% )
出典:厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」(2018年8月7日)
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