【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ 急増するスモークハラスメント!実践したい職場の受動喫煙防止策
職場での喫煙に関する問題が増えています。“スモークハラスメント(以下、スモハラ)”とも呼ばれる受動喫煙のトラブルは、近年では従業員が企業へ損害賠償請求訴訟を起こすまでに発展することも。従業員の健康を守りトラブルを防ぐために、企業は受動喫煙防止対策としてどのようなことを行えばいいのでしょうか?
受動喫煙放置はスモハラ?見過ごせないリスク
タバコの有害物質は主流煙よりも副流煙に多く含まれるため、職場での受動喫煙による健康被害は無視できません。このような事実をふまえ、平成27年6月に労働安全衛生法が改正され、受動喫煙防止対策が事業者の努力義務として法律で明記されました。これは企業規模に関わらず、すべての企業に適用されます(労働安全衛生法第68条の2)。
この改正以降、従業員からの損害賠償請求訴訟により、企業が和解金を支払う事例も出てきました。
【事例】
積水ハウス株式会社の元従業員が、職場の受動喫煙対策が不十分なため健康被害を受けたとして、会社に対し損害賠償請求訴訟を起こしました。第1審の地方裁判所は元従業員の請求を退けましたが、第2審の高等裁判所において、会社が350万円を元従業員に支払う内容の和解が成立しました。
一方では、行き過ぎた禁煙運動に対する根強い反発の声もあります。しかし喫煙や受動喫煙による病気が減少すれば従業員の健康が守られ、企業の医療費負担も少なくてすむなど、企業が受動喫煙対策に取り組むことにはメリットも多く、結果的に会社の利益にもつながります。
従業員の健康を増進!企業が行うべき受動喫煙防止対策とは?
厚生労働省の通達で示されている、企業が行わなければならない受動喫煙防止対策について、4つのポイントをご説明します。
1.会社の現状を把握する
妊婦や未成年、呼吸器・循環器に疾患があるなど、特に配慮が必要な従業員がいるかどうかなどを把握する。
2.施設や設備といったハード面での対策を行う
屋外喫煙所を設置し、屋内は全面禁煙とする。もしくは屋内に喫煙室を設置して空間分煙を行う。または喫煙可能区域を設定し、適切な換気を実施するなどの対策を行う。
3.会社の空気環境の測定を行う
浮遊粉じん濃度や一酸化炭素濃度を調べ、濃度が厚生労働省が定める基準内であることを確認する。
4.受動喫煙に関する教育を行う
管理職や従業員が一丸となって受動喫煙防止対策を意識し、協力を求める。
欧米企業の多くでは既に禁煙が基本となっており、将来的には日本でも、企業の受動喫煙対策の義務が厳しくなると予想されます。
実際に今年、健康増進法の改正がなされており、受動喫煙による健康被害の影響が大きい子ども、患者などが利用する施設や屋外における受動喫煙対策を、一層徹底する方向で規制が強化されました。
こういった趨勢からみて、今後、企業が社内の受動喫煙を放置した場合、従業員のみならず顧客などからもその被害を訴えられるといったトラブルが、より増加することも考えられます。企業は十分な対策を進めることが重要といえるでしょう。
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