【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ 指導や勧告を受けないための„下請との適切な付き合い方“
業務を外部委託することで、社内業務の効率化とコスト削減を図る“アウトソーシング”。多くの会社が行っていますが、親事業者と下請事業者の間では“下請いじめ”が横行しやすいため、取引は『下請法』によって規制されています。指導や勧告を受けることのないよう、下請法の内容を理解しておきましょう。
『下請法』による規制で、取引を公正化
業務を委託する親事業者と、受託する下請事業者の間では、取引上の力関係において前者が後者に対し大幅に優位な立場にあることから“下請いじめ”が起こりやすいといわれています。そこで、取引を公正に行い、下請事業者の利益の保護を目的として、『下請代金支払遅延等防止法(略称:下請法)』が制定されています。
合理的な理由なく以下のような行為を行うと、下請いじめになることがあります。
●無理な納期を求める
●注文した物品などの受け取りを拒む
●下請代金を支払期日までに支払わない
●定めていた下請代金を減額する
●受け取った物品などを返品する
下請法は、下請事業者が個人事業主の場合でも適用されます。また、下請事業者の了解を得ていたとしても、違反となることがあります。これは立場上、親事業者から強く言われると下請事業者は拒めないケースがあるためです。親事業者に違反が認められた場合、行政指導により是正の勧告が行われ、罰金が科される場合もあります。
下請法に違反した過去の事件では、2012年に日本生活協同組合連合会が公正取引委員会から勧告を受けた例があります。総額約39億円の違反で、これは過去最大の金額です。
違反しないポイントは?
では、下請法に違反しないためにはどうすればよいのでしょうか?
下請取引の公正化と下請事業者の利益保護のため、親事業者には
(1)発注の際は、取引内容を具体的に記載した書面を交付する
(2)下請代金の支払い期日を、物品の受領(サービスの提供)から60日以内の期間に定める
(3)下請取引の内容を記載した書類を作成し2年間保存する
(4)支払いが遅延した場合は遅延利息を支払う
という4つの義務が課されています。
取引を行う際には契約書を作成し、契約内容や実際の取引をチェックしていくことが重要です。勧告が行われると会社名や違反の内容、勧告内容が公表され、親事業者の社会的評価や信用の低下を招くとともに、今後の取引にも影響があるでしょう。また、指導や勧告に従わないと、損害賠償請求の裁判が起こされた際に、たいへん不利な証拠となります。
経費削減を考えるあまり、立場上の弱みにつけこんだ不公正な取引を行うことは許されません。外部委託を利用する際には、下請法に違反していないか、十分に注意することが必要です。
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