【経営なんでもQ&A】 7ページ 『職能制』『職務制』『役割制』は何が違う?

Q 会社の人事評価をどうするかで悩んでいます。人事評価制度をつくって給与体系に反映させようと思うのですが、当社は起業してからの年数もまだ浅く、規模も小さいため“年功序列”や“終身雇用”を前提としているわけではありません。人事評価の基準は、どのようなものがあるのでしょうか?

A 人事の等級制度には、人を基準とする“職能資格制度(職能制)”、仕事を基準とする“職務等級制度(職務制)”、役割を基準とする“役割等級制度(役割制)”の3種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを考慮し、会社に合う制度を取り入れましょう。

従業員の業務を的確に定めるための等級制度

 日本の企業では長らく、“新卒一括採用、終身雇用”が慣習化してきました。しかし近年は社会情勢の変化や価値観の多様化のなか、転職が当たり前の時代になっています。また2019年の施行を控えた『働き方改革関連法』にともない、正規雇用者と非正規雇用者の不合理な待遇差をなくす概念『同一労働同一賃金』が提唱されていることなどから、個々の企業においても、給与や人事の制度に変化が求められつつあります。
 そのカギとなるのが、正規雇用・非正規雇用の枠を超えた横断的な人事の基準となる、3種類の等級制度と言われています。それぞれの制度の特徴をご説明します。
 
(1) 職能資格制度(職能制)
人(能力)を評価基準とします。ここでいう能力とは、業務遂行時に経験し蓄積されるもので、必ずしも役職と一致はせず、配置転換しても賃金は変わりません。
(2) 職務等級制度(職務制)
仕事を評価基準とします。あらゆる職務について詳細な“職務記述書”を作成し、そこに明示された職務を実行できるのであれば、誰であっても賃金は変わりません。
(3)役割等級制度(役割制)
役割を評価基準とします。ここでいう役割とは、経営目標達成のためにやるべき行動を大くくりにしたもので、ポジションに応じて定型でない業務を含むなど、変更も比較的容易です。

それぞれにあるメリット・デメリット

 これまで多くの日本企業は(1)の職能制を採用してきました。この制度が広い知識や経験を蓄えた人材を育成する大企業や、長年の経験を重要視する製造業の体質に合っていたからです。しかし、職務における能力の評価基準はあいまいになりがちで、結局は年功序列による運用に陥りやすく、人件費が会社の経営を圧迫するようになりました。
 
 (2)の職務制は、誰が職務を担当しても待遇に差が出ず、特定の分野に特化した“スペシャリスト”に向く制度でもあります。ただし、職務記述書の作成に労力がかかり、給与との関連づけもむずかしいため、あまり普及してきませんでした。
 
 (3)の役割制は、明確な役割のもとで主体性を持って働けるメリットがあります。ただし、決まった定義がないため自社で制度を定めなければならず、導入には各部署との細かい調整が必要です。
 人事管理を行う際には、従業員それぞれの能力や与えられた職務、期待される役割を最大限に活かして臨みたいものです。

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