【労務ワンポイントコラム】 4ページ 出社してこなくなった社員。適切な対応方法とは?

「突然、社員が出社してこなくなった……」。滅多にないことのように思えますが、実はよく耳にする問題です。では、無断欠勤が続いた社員は自然退職となるのでしょうか? それとも懲戒解雇となるのでしょうか? 今回は、無断欠勤した社員に対して、会社が取るべき適切な対応についてご説明します。

放置はNG!まずは連絡を取って安否確認を

 社員が出社しなくなったら、事件や事故に巻き込まれていたり、病気で倒れていたりする可能性もゼロではありません。まずは早急に本人と連絡を取るように努めましょう。
 電話やメール、手紙のほかにも、自宅へ訪問する、家族や身元保証人へ連絡するなどして安否確認を行い、欠勤している理由の確認や出勤の督促をします。
 それでも社員と連絡が取れない場合や、正当な理由なく出勤の督促に応じなければ、『懲戒解雇』の手続きも可能となります。
 無断欠勤を理由とした懲戒解雇にするのであれば、あらかじめ、就業規則の懲戒解雇事由に“無断欠勤”の項目を明記しておく必要があります。たとえば『正当な理由なく無断欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じない場合』などと規定されます。

 ただし、この“無断欠勤”に正当な理由があれば懲戒解雇は無効となるため、出社できない理由を確かめておく必要があります。
 また、解雇通知は社員本人に到達しないと効力が生じず、解雇が成立しません。どうしても本人と連絡が取れず、解雇ができない場合は、簡易裁判所で意思表示の公示送達を行います。送達から2週間経過すれば、社員本人に解雇通知を行った場合と同じ効力が生じます。

無断欠勤を退職事由として自然退職扱いに

 前項で説明したように、懲戒解雇は手続きに多くの手間と時間がかかります。実務的なことを考えると、解雇よりも『自然退職』として扱うほうがよいでしょう。
 『解雇』が会社からの一方的な意思表示により雇用契約を解除することであるのに対し、『自然退
職』は無断欠勤を“社員本人の退職の意志表示”と捉え、自己都合退職として処理します。そのためには懲戒解雇と同じく、就業規則の退職事由に『社員が行方不明または連絡が取れなくなって、その期間が継続して30日を経過したとき』など、“無断欠勤”の項目をあらかじめ明記しておかなければなりません。

 無断欠勤は社内の人間関係などが原因になることも多く、後にトラブルに発展する場合があります。最終的に解雇するにせよ、自然退職とするにせよ、そこに至るまで会社が取った対応の記録を残しておくことも大切なポイントです。

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