【税務・会計2分セミナー】 3ページ  どうして減らすの?資本金の減資のメリット

企業が事業を開始するときに準備する資本金は、その後の経営状況によって増資あるいは減資することができます。『減資』というと、業績悪化などを連想しやすいですが、実は大きなメリットがあり、多くの企業が利用しています。ここでは減資のメリット・デメリットと、実際に減資を行った会社の実例をご紹介します。

減資を行うメリット・デメリットは?

 資本金を増やす『増資』と違い、減資には経営不振などのマイナスイメージが伴いがちです。それでも企業が減資を行うのは、累積赤字の補填や節税といったメリットがあるためです。
 『累積赤字』とは、これまでに積み重なった赤字のことです。赤字企業は銀行などからお金を借りづらくなりますが、この累積赤字を資本金と相殺すれば、貸借対照表の見た目が整えられます。貸借対照表は銀行や取引先などへ開示されることがあるので、たとえ帳簿上でも累積赤字がなくなれば、印象は随分よくなります。
 また、日本では資本金が少ないほど、課される税金も低くなります。原則として資本金が1億円以下なら法人税法上では中小企業に該当するため、大企業と比べると数百万から数億円も税金の負担が軽くなります。ただし、保険業法に規定する相互会社や資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人と完全支配関係にある普通法人は、中小企業から除かれるため、注意が必要です。
 減資のなかでも余剰資金分を株主に払い戻す“有償減資”だと会社の財産が減りますが、上記のような“無償減資”なら財産は変わりません。
 ただし、資本金は企業の信用度をはかる際の指標となるため、減資によって信用度が低下し、取引機会などを逃してしまう可能性も考慮する必要があります。

減資を行った会社の実例

 実際に減資を行った例をご紹介します。
 2015年、経営再建中であったシャープは、資本金を約1,200億円から5億円に減資し、累積赤字を相殺しました。当初は1億円にまで減らすつもりでしたが、株式市場、政府、マスコミなどから批判が出たため実現しませんでした。
 また、吉本興業は2015年に約125億円の資本金を1億円に減資しました。吉本興業はシャープとは違い上場企業ではなかったため、株式市場から批判が出ることもなく、6月の株主総会で承認を受け、9月に実施されました。
 減資にはメリットがありますが、節税のみを目的とした減資は税制の悪用と捉えられますし、社会的責任からも行うべきではありません。合理的に説明できる目的や理由がある場合にのみ行いましょう。
 加えて、例えば株式会社が減資を行う場合は原則として株主総会の特別決議を行う等、減資による節税にはさまざまな条件があるので、事前によく調べ、慎重に進めることが大切です。

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