【労務ワンポイントコラム】 4ページ 長期療養中の社員……社会保険の負担額や補償はどうなる?
怪我や病気は、誰にでも突然降りかかってくるもの。頼りにしている社員が怪我をして、長期療養が必要になることもあるでしょう。 今回は、『療養による長期欠勤中の社員にはどんな所得補償があるのか?』『源泉所得税や雇用保険料、社会保険料などの負担はどうなるのか?』について説明します。
所得補償は労災保険もしくは健康保険から
業務や通勤時の負傷、業務外での怪我や疾病、あるいは災害などの理由により、社員に長期療養が必要になることがあります。長期療養中は収入面が気になるところですが、労災保険もしくは健康保険の加入者に対しては公的な所得補償があります。以下で確認しておきましょう。
・休業補償給付(労働者災害補償保険)
業務中もしくは通勤時の怪我や病気で働けない場合、生活保障として、休業1日につき、労働基準法でいう“平均賃金額”の80%が支給されます。平均賃金額とは、直前3カ月間の賃金総額をその期間の暦日数で割った額です。対象は役員を除いた全社員(アルバイトを含む)で、欠勤の4日目から支給が開始され、最長で1年6カ月までの間、受けられます。また、労災であれば、原則として治療費はかかりません。
・傷病手当金(健康保険)
業務外の怪我や病気で働けない場合、生活保障として、休業1日につき、健康保険法でいう“標準報酬日額”の67%が支給されます。標準報酬日額とは、直前12カ月間の平均月給を30日で割った額です。対象は社会保険の加入者のみで、欠勤の4日目から支給され、最長で1年6カ月までの間、受けられます。なお、治療費の3割は自己負担になります。
給与がない間の社会保険料はどうなるの?
給与の支給がない間は、源泉所得税や雇用保険料は発生しません。しかし、社会保険料(健康保険と厚生年金保険)と住民税の負担額は給与がない月でも変わりません(ただし産休・育休期間においては本人、事業主共に社会保険料は免除されます)。
そのため、いつもは給与天引きしている社会保険料と住民税を、療養期間中にどう徴収するか、本人と取り決めておく必要があります。たとえば、“本人から毎月会社の口座に振り込んでもらう”、“傷病手当金を受けている場合は、給付金を一旦会社で受領し、社会保険料と住民税を控除してから本人に振り込む”、“賞与の支払いがあれば相殺する”などです。
なお、休職は社会保険の脱退理由として認められていないため、社員が療養中でも社会保険料の半分は事業主が負担しなければなりません。
社員が長期療養せざるを得なくなった場合、本人は大きな不安を抱えているはずです。安心して療養に専念できるよう、できる限り迅速に対応するよう心がけましょう。
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