【労務ワンポイントコラム】 4ページ がんで治療中の社員。会社がとるべき対応とは?

生涯で2人に1人は、がんにかかる可能性があるといわれている現代。しかも、その3分の1が働き盛りの年代であることはあまり知られていません。バリバリ働いている社員が、いきなりがんになったと打ち明けてくることは十分起こり得ます。そんなとき、会社としてどう対応するのがベストなのでしょうか。

まずはがん就労者の働く意思の確認を

 がん就労者が職場で直面する問題で最も多いのは、なんといっても経済的なことです。厚生労働省委託事業である『治療と職業生活の両立等の支援対策事業』の実施委員会が行ったアンケートによると、何らかの病気と闘っている労働者の92. 5%が『働くことを希望している』ことがわかりました。これにはがん就労者も含まれますが、現実は、がん就労者自身が周りに気兼ねしたり、家族や会社側から「治療に専念すべきでは」と言われたりして、退職を受け入れるケースがほとんどです。これでは病気に加え、経済的な不安を抱えることになります。
  
このギャップを埋める最も効果的な手段は、がん就労者と徹底的にコミュニケーションを行うことです。“働きたいのか、治療に専念したいのか”を決めるのは、がん就労者自身です。国立がん研究センターの発表でも、全がん種の10年相対生存率は58.2%、早期発見であれば9割超となっており、がんは死のイメージがつきまとう病気ではなくなっています。聞きづらくても、がん就労者には今後の働き方について真意を問うことが大切です。休職期間についても話しておくと、本人も「辞めなくて済む」という安心感が得られます。本人が働く意欲にあふれているなら、事業主としてサポートできることを考えましょう。

利用できる制度を伝え、労働環境の整備を

 サポートしていく際に、まずは、がん就労者が利用できる制度を伝えておくことが大事です。たとえば『傷病手当金制度』について、「利用できることを知らなかった」というケースは意外と多くあります。
会社独自の互助会があるなら見舞金が出る場合もあります。これらはただでさえ経済面が不安ながん就労者からすると嬉しいシステムです。
 
 また、勤務体系や通勤上の配慮など働きやすい労働環境を整備することや、緊急事態の発生に備えて対応ルールを取り決めておくのもおすすめです。“どんな症状が出るのか”、“どこまでが緊急性のない症状なのか”などを明確にしておくと、いざというときに慌てずに済みます。何か起きたときのために外部の医療機関や就労者の家族と連絡が取れるようにしておけば安心でしょう。
 事業主としてできることはまだ考えられますが、大前提として「がんになっても辞める必要はない」と社内に周知しておくことが大切です。働く意欲があるのは会社としてもありがたいことなので、ルールを明文化して備えておきましょう。

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