【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ 強制解雇した社員から訴えられたときの対処は?

もしも、やむを得ず強制解雇した元従業員から会社を訴える旨の内容証明が届いたら……。このような労働訴訟は自社には無縁の話だと思いがちですが、会社を経営している以上、決して対岸の火事とは言い切れません。では、実際に元従業員から訴えられたら、会社としてどのように対処するのが正解なのでしょうか?

他人事ではない労働訴訟

 厚生労働省が発表した『平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況』によると、総合労働相談に寄せられた解雇に関する相談は3万3,269件にのぼります。そのなかには、会社から受けた解雇処分を不当として裁判にまで発展したケースも多くあります。
 『不当解雇』とは、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上、不相当とされる解雇のことです。いくら事業主が正当な解雇だと主張しても、この要件を満たさなければ不当解雇になり得ます。
 たとえば、仕事ができないことを理由とする解雇は不当とされる可能性が高いです。解雇は最終手段ですので、その前に従業員の問題を真摯に改善したかどうかという、会社の姿勢が問われることとなります。
 不当解雇だと認められた場合には、該当従業員の復職や給料のバックペイ(遡及支払)が強制されます。場合によっては、慰謝料をはじめとする損害賠償をしなければならない事態にもなりかねません。

大事になる前に素早い対応を

 不当解雇で訴えられたら、すぐに弁護士に相談してください。事業主の言い分が法的にみて解雇事由に当たるか否かを冷静に見極めることが必要です。ここで適切な判断をすることが迅速な問題解決につながります。訴訟に発展して紛争が長引いてしまうと、解決費用やバックペイの額は膨らんでいきますし、書面を作成して裁判所に出廷するのに時間を割かれることになります。最悪の場合、会社の社会的評価やほかの従業員のモチベーションが著しく低下することにもつながります。
 しかし、どんなに手を尽くしても、やむなく裁判まで進んでしまうこともあります。裁判では、解雇に至るまでの従業員の問題点を主張しなければなりません。事業内容などの会社情報、解雇した従業員の経歴や役職、担当業務などをできるだけ具体的にあげたうえで、どんな問題があったのかを明確かつ詳細に示していきましょう。
 また、証拠となるものがあれば揃えておきましょう。やりとりしたメールや面談の記録、始末書や指導書など、何が証拠となるかわかりません。素人判断をせず、できるだけ多くの証拠を集めることをおすすめします。
 
 解雇前にしかるべき対応をしておけば、訴訟に発展するリスクは減ります。
解雇する従業員にそれ相応の理由があることや、最終的な解雇通告の前に手を尽くしたことを証明できるか、よく検討するようにしましょう。

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