【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ 借地上の建物は勝手に建て替えられる?
建物を老朽化したまま放置しておくと、安全面でのリスクが高まります。しかし、建物が建っている土地が借地だった場合は、勝手に建替えを行ってよいものなのでしょうか? 実は、土地所有者の承諾を得ることなく建替えができるケースと、できないケースがあります。
契約で確認すべきは特約の内容
借地上に建っている建物を建て替える際は、まず契約書を取り出し、『増改築禁止の特約』が付いているかどうかを見てみましょう。
特約が付いていなければ、特に借地権設定者(以下、地主)の承諾を得なくとも、建物の建替えをすることができます。また、承諾料を地主に支払う必要もありません。
一方、特約がついている場合は、地主の承諾が必要になります。
この特約に違反して勝手に建物を建て替えると、債務不履行となり、場合によっては借地契約を解除されてしまう可能性もあります。
では、契約書に増改築禁止の特約がついている場合、建替えは一切できないのでしょうか?
増改築禁止の特約がついていても、地主の承諾を得た場合には建替えが可能です。
ただし、多くの場合、地主から承諾料の支払を求められ、全面改築の場合の標準的な承諾料は、更地価格の3%程度といわれています。
慎重に行いたい裁判所への申立て
ところが「承諾を得ようとはたらきかけてみたところ、相場以上の承諾料を要求され、折り合いを付けることができなかった」や、「そもそも地主とのトラブルを抱えており、承諾を得たくても話し合いの場を持てない」などの理由で、地主の承諾が得られない場合もあります。
とはいえ、安全面を考えると、いつ倒壊するかわからない建物で生活や事業を続けられるものではありません。
このような場合は、裁判所に対する申立てを行い、許可を得たうえで建替えをすることも可能です。
ただし、地主との関係がこじれてしまううえ、金融機関の借入を利用しての建替えを考えている場合は、借入が困難になる可能性もありますので、申立てを行う前によく検討してください。
なお、増改築禁止の特約がついていたとしても、壊れた窓枠などの小規模な修繕については、地主の承諾がないまま工事をしても契約違反とはなりません。
老朽化で建物を建て替える際は、まずは増改築禁止の特約の有無を確認しましょう。そして承諾が必要だとわかった場合には、お互いによい方向へ進めるよう、地主と協議を重ねることをおすすめします。
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