【経営なんでもQ&A】 7ページ 法定福利費と福利厚生費は いったい何が違うの?
Q 最近、当社に税務調査が入りました。「何も間違いはない」と思い心配などしていなかったのですが、未払い賞与に対して法定福利費を計上していたことで、「福利厚生費と混同している」と指摘を受けてしまいました。『法定福利費』と『福利厚生費』の違いは何でしょうか?
A 企業が福利厚生に費やす費用には、『法定福利費』と『福利厚生費』の2種類があります。前者は法律で企業に義務づけられているもので、後者は企業ごとに使い方を任されているものです。税務上、福利厚生にかかる費用の正しい運用は不可欠な要素であり、従業員に適切な環境を提供するためにも非常に重要なことです。
『法定福利費』は社会保険料の会社負担分
福利厚生には、法律で定められている『法定福利厚生』と、それ以外の『法定外福利厚生』があります。『法定福利費』は前者にかかる費用で、一言でいうと“従業員の社会保険料の会社負担分”のことです。具体的には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険などがこれに当たります。
社会保険料は、法律で会社負担が義務づけられており、決められた割合に応じて会社と従業員が支払います。
会社が負担する分は『法定福利費』として勘定し、従業員の負担分は給与から天引きして『預り金』扱いとします。
社会保険料は基本的には非課税で、会社負担分は損金として計上できますし、従業員負担分の社会保険料も所得税の計算において控除されます。
両者の違いを押さえて適切な処理を行うこと
一方、法定外福利厚生にかかる『福利厚生費』は給与や交際費以外の給付で、従業員の生活や労働意欲の向上のために使われる費用のことです。新年会・歓送迎会などの社内イベント費用や社員旅行代、社宅、健康診断費用、慶弔見舞金などがこれに当たります。このほかにもさまざまな例があげられますが、福利厚生費と認められるポイントは、全社員が平等に利用できて常識の範囲内での支給であることです。
福利厚生費は、使われた対象によって課税か非課税かが異なります。もともと給与や交際費と明確には区分されていないため、税務上、福利厚生費に認められなかった場合は、給与または交際費扱いとされ、税金負担が変わります。
法定福利費と福利厚生費はよく混同されますが、両者の定義をしっかり理解しておくことが大切です。企業への法的義務や税金の有無といった両者の違いを押さえておきましょう。
特に法定福利費は、区分や種類といった要素によって支払う割合や期間も異なります。きちんと把握して適切に会計報告をしましょう。
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