【労務ワンポイントコラム】 4ページ その命令は適切?休職命令を出す際に注意しておきたいポイント
「従業員の調子が悪そうだから、よかれと思って休職命令を出したら労務トラブルに発展した」ということがあります。本来、休職命令は従業員の解雇を猶予するための措置であるはずです。トラブルにならずに休職命令を出すには、どうするのが適切なのでしょうか。
安全配慮や職場環境配慮は会社の義務
企業は従業員に対して“安全配慮義務”や“職場環境配慮義務”を負っています。そのため、企業は従業員が
安全にかつ健康に働ける職場環境を構築する必要があります。
休職とは雇用関係を継続したまま労働義務を免除することで、従業員の健康など、何らかの理由で就業が不可能になったときに一定期間仕事から離れるのを認める制度です。そして休職制度は解雇する前の猶予期間としてあてがわれるもので、従業員の健康状態の回復を願いつつ下されるものです。決して即解雇とはならないのですが、命令を出された側としてはショックが大きいせいか、労務トラブルに発展しやすい事例の一つに数えられます。
従業員の様子がおかしいと気づいたら、まずは医師に相談するよう伝えましょう。医師の診察を受ければ、休職の必要性が判断でき、休職命令の正当性も担保できます。病気の悪化を防ぐことにもつながりますし、従業員の健康に気を使っていることのアピールにもなるでしょう。もし従業員が医者にかかりたがらないようであれば、ご家族と相談することも有効です。
病気であるとわかったらまずは話し合いを
従業員が医師の診察で病気と診断された場合、本人と面談の機会を持ち、休職を促すなど回復のために
会社としてできることを提案しましょう。従業員と信頼関係を構築しておくことも大切です。
特に休職中の賃金の支払いについて、詳細に伝えておく必要があります。この場合は基本的に従業員側
の事由による休職となるため、休職期間中は無給となるケースがほとんどです。
ただし、休職制度についての法的規則はありません。事業者は自社に適した制度を設定することができるので、『休職期間のはじめの1カ月は有給とする』などの規則を設けることもできます。休職中でも厚生年金や健康保険といった社会保険の被保険者である以上は、社会保険料の負担は生じます。
また、住民税の支払い義務もあります。休職中に無給である場合、会社は保険料や税金を控除することができませんので、会社が立て替えて、その後本人に請求するなどの支払いルールを決めておく必要があります。 そして有給休暇の付与方法や、休職中の病状の報告義務などについても詳細に話し合っておくと、回復した場合にもスムーズな復帰が可能です。
休職制度を設定しておくと、私傷病などのやむを得ない事由による欠勤が続く場合に、柔軟な対応ができます。
従業員の健康面に配慮することは企業側の義務ですし、従業員に安心して働いてもらうために必要なことといえます。社内規定に休職制度が設けられていない場合は、ぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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