【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ 秘密漏えいの危機を回避!『秘密保持契約書』を作成するポイントは?
企業間の取引で『秘密保持契約書(NDA)』を交わすことが当たり前になってきています。大手企業であれば、毎日1通程度はどこかの部署で扱っているでしょう。今回は、自社の秘密情報を守るために結んでおくべき、この契約書を作成するポイントをご紹介します。
秘密情報の開示までに契約の締結を
『秘密保持契約』とは、自社の秘密情報を他社に漏らされたり、不正利用されたりするのを防止するために結ぶ契約です。特許申請予定の商品を公開するときや、不正競争を防止したいときなど、さまざまな場合に結ばれます。
秘密保持契約書を作成する際には、自社と相手側のどちらかが一方的に不利な契約とならないように注意を払う必要があります。特に、情報を公開する側は多大なリスクを背負います。ほんの小さな認識の違いが発端だとしても、問題が発生した際にはそれが争点になってしまうことは十分にあります。双方の利益を確保するためにも、しっかりと協議しながら作成していきましょう。また、万が一情報漏えいがあっ
た場合など、問題発生時に考えられるケースについても事細かに明記しておくことをおすすめします。
契約は、秘密情報の開示までに締結しておく必要もあります。契約前に情報漏えいが発覚した場合、単に情報提供をしただけという形になり、大損をすることにもなりかねません。
秘密保持契約締結時のチェックポイント
契約を交わす際には、以下の項目について厳重にチェックしておくことをおすすめします。
(1)契約の目的
契約を交わす目的を明確にしておくことで、目的以外に情報を使用できないようにすることも可能になります。
(2)秘密情報の定義
認識の違いは情報漏えいにつながる一番の原因です。
開示情報のどこまでを秘密とするのかを、しっかり定義しましょう。
(3)漏えい発生時の損害賠償の可否や調査権限
情報が漏えいしたときは賠償請求ができる旨を一言添えておきましょう。また、調査をする権限がどちらにあるのかも記載しておくとよいでしょう。
(4)契約の有効期間と残存条項
秘密保持期間終了後のことを考えて契約を締結することは、思いのほか重要なことです。情報によっては、永遠に秘密保持を要するケースも少なくありません。
そのほかに、権利義務の譲渡禁止、秘密情報の破棄・返還、秘密保持義務を負う人間についても記載しておきましょう。なお、一般的に秘密保持契約に収入印紙は不要ですが、契約の内容から実質的に秘密保持以外の内容の合意がある場合には、課税の対象かどうか検討しなくてはなりません。また、押印の際は割印や契印といった方法で改ざんを防ぐのが一般的です。
秘密保持の重要性から、経済産業省も秘密保持契約書のひな形を公開しています。当たり前のことですが、契約内容は細かくチェックし、損をしない取引を行いましょう。
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