【経営なんでもQ&A】 7ページ 定年制度見直しで人材不足解消! その留意点とは?
Q 世間で深刻化している人材不足の波を受け、我が社も人手の確保に頭を悩ませています。この度、雇用契約の見直しを考えていたところ、定年制度のテコ入れを思いつきました。従業員に65歳を超えても働き続けてもらうためにはどのような方法がありますか? また、留意点があれば教えてください。
A 人材不足はどの業界でも問題となっています。65歳を超えて働き続ける環境をつくるために考えられるのは、(1)定年制の廃止、(2)定年の引き上げ、(3)継続雇用制度のいずれかです。なお、制度に反発する従業員も出てくる可能性がありますので、労使双方にメリットのある適切な制度づくりをすることが大切です。
高齢化率がますます高まる日本の雇用状況
厚生労働省公表の『平成29年版厚生労働白書』によると、日本の総人口は2065年には9,000万人を割り込み、生産年齢人口(15~64歳)は約50%近くまで減少すると推察されています。一方、65歳以上の高齢化率は40%近くになると見込まれており、人手不足解消のためには、いかにこの年齢層を取り込めるかがポイントとなってきます。
一方、厚生労働省公表の『平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果』によると、全体の4分の1超の
企業が65歳を超えた高齢者の雇用制度を導入しています。その内訳は、(1)定年制廃止が2.6%、(2)定年の引き上げが2.0%、(3)継続雇用制度の導入が23.0%となっています。
定年制度を見直す際に気をつけたいポイント
(1)の定年制の廃止を導入する場合、雇用形態や労働条件が変更できないことから人件費が増すおそ
れがあります。労働者の健康状態や体力面の負荷などに配慮して、労働時間数や業務内容を見直す必要も
出てくるでしょう。また、いくつになっても働き続けられるため、もし辞めてもらいたくなった場合、労働者側から退職を願い出ない限り、企業側からは解雇するしか方法がなくなります。労働契約法16条にある通り、違法な解雇は無効となるため注意が必要です。
(2)の定年の引き上げを選択した場合も、(1)と同様に人件費の増大は免れませんが、一定の年齢に達すれば雇用契約は終了するので(1)ほど負担はかかりません。ただし、本人の意欲に関係なく定年で退職となるため、意欲や能力のある人材を手放すことにつながります。
(3)の継続雇用制度は、“再雇用制度”と“勤務延長制度”に分かれます。雇用関係中断の有無がポイントで、いずれも対象者の選定基準や雇用形態、雇用期間などを自由に決定できます。ただし、賃金減額などの条件変更が行われることが多く、労働者のモチベーションが低下し、人材流出につながるおそれがあります。
いずれにしても、退職金制度や社会保険制度を同時に見直すことを忘れないでください。労働者が納得して働いてくれる環境を整えることも会社の務めです。
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