【税務・会計2分セミナー】 3ページ 2023年始動! 税額計算の新方式『インボイス制度』で何が変わる?
2016年11月末に成立した税制改正関連法により、2023年10月に『インボイス制度(適格請求書等保存方式)』が実施されます。これは、課税事業者が発行する請求書や納品書に記載された税額のみを控除することができる“仕入税額控除”方式のことです。今回は、この概要をご説明します。
インボイス制度導入の目的やメリットとは?
消費税10%引き上げまで、いよいよ2カ月あまりとなりました。
同時に飲食料品等は軽減税率(8%)が適用され、複数税率になります。
これに対応するため、4年の経過措置を経て2023年10月から導入が予定されているのが『インボイス制度(適格請求書等保存方式)』で、概要は下記の通りです。
(1)消費税の課税事業者は事前に税務署に申請し『適格請求書発行事業者』の登録を受ける。
(2)登録を受けた事業者は、自ら発行する請求書に『登録番号』『税抜価格または税込価格を税率ごとに合計した対価の額及び適用税率』『消費税額等』を記載し、その副本を保存する義務を負う。
(3)(2)のインボイスを受け取った事業者は、消費税の納税額を計算する際にインボイスに記載された消費税額を仕入税額控除することができる。
つまりこの制度では、免税事業者や登録を受けていない事業者が発行する“適格ではない”請求書では、
消費税の仕入税額控除が受けられなくなります。
軽減税率制度では商品によって税率が異なるため、仕入税額控除額を計算する際、インボイスで商品ごとの適用税率や税額の記載を行えば、記載ミスが防げると考えられています。
また、益税(消費者が支払った消費税の一部が納税されず業者の利益となること)の問題解消の効果も
見込まれており、最低でも千数百億円の益税が解消されるという試算も出ています。
制度導入を前に注意しておくべきこととは?
インボイスを発行できるのは、登録を受けた課税事業者だけです。また、免税事業者には経過措置が設けられていますが、段階的に控除額が減少していき、2029年10月1日には仕入税額控除は一切認められ
なくなります。安易に取引の継続を決めてしまうと、税負担が増えるばかりか、そのことが取引継続のネックとなる事態も考えられます。
また、免税事業者の場合、仕入れにかかる消費税額については、免税事業者が持ち出しすることになります。免税事業者にとっては厳しい制度であり、導入後は500万超もの免税事業者が廃業に追い込まれる可能性も示唆されています。
免税事業者や適格請求書発行事業者登録をしていない事業者は取引から除外される可能性があります。そのため、課税事業者は先述の通り『適格請求書発行事業者』の登録を行い、また、免税事業者は『消費税課税事業者選択届出書』を提出し、課税事業者になったうえで同登録をするかどうか検討・対応することとなります。
2023年の導入に向けて、自社に適した対応を調べておきましょう。
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