【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ 法的効果はある?電子契約を取り交わすメリット

企業間で取引を行う際の契約は、以前は紙面で結ぶのが当たり前でしたが、近年は電子契約も普及しています。電子契約とは、契約の締結や、それに付随する管理業務をすべてインターネット上で完結させるというもの。いったいどんなメリットがあるのでしょうか。

法的有効性も認められ広く利用されている電子契約

 近年、電子契約システムを提供する企業が数多く存在しています。1998年7月の『電子帳簿保存法』
の施行を皮切りに、2001年4月には『電子署名法』と『IT書面一括法』、2005年4月には『e-文書法』と、次々と電子契約に関する法整備が敷かれた結果、電子契約は広く利用されるようになり、法的有効性
も認められています。日本文書情報マネジメント協会『JIIMA』が行った調査においても、2015年時点で「電子契約サービスを導入・検討している」と回答した企業は、43%にのぼっています。
 ただし、電子契約はデータなので、改ざんや偽造、なりすましが簡単にできます。そのため、電子契約では“電子署名”と“タイムスタンプ”が重要になります。電子署名は、これまでの契約書で行われていた押印
や署名に代わるもので、それらと同等の効力を持っています。しかし、電子署名のみではその署名がいつのものかわからず、契約日の確定や電子署名の証明効力の失効に対応できません。だからこそ、タイムス
タンプの埋め込みが必要なのです。これにより、文書作成時刻についての信頼性を客観的に保証すること
ができます。

電子契約の導入により金銭的・時間的コストが削減

 では、電子契約を導入すると、どんなメリットが得られるのでしょうか?
 電子契約にすると、契約書作成にかかる印刷や製本、郵送といった業務がなくなるため、コスト削減になります。PCで管理するので従来の工程の省略も可能です。また、電子契約は印紙を貼る必要がないので、契約書を作成するたびに必要だった、数千~数万円の印紙代も不要です。ひと月に多くの契約を行う企業にとっては、多大なコストカットとなるでしょう。
 郵送業務がなくなるため、金銭的コストだけでなく、従来の契約締結にかかる時間的コストも大幅にカットすることができます。これにより、それまで2~4週間必要としていた契約締結を、早ければ1日で終わらせることも可能です。また、改ざんのリスクが減り、アクセス履歴も残るため、コンプライアンスの強化にもつながります。

 このように非常に有用な電子契約ですが、投資信託契約の約款や定期借地契約といった、書面での締結
が必須の契約には利用できません。また、取引先の理解を得る必要もあるので、導入する際は、メリットと目的についてよく考えるようにしましょう。

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