【経営なんでもQ&A】 7ページ 厚生年金適用拡大へ! “82万円の壁”の影響は?

Q パートなどの短時間労働者への厚生年金の適用が拡大されると聞きました。過去にも何度か厚生年金の適用拡大が行われたのは知っていますが、今回はどのような内容が検討されているのでしょうか。また、もし拡大が決定したら、企業には一体どのような影響が出るのでしょうか?

A 厚生年金の適用拡大は、新規加入の推進を目的として過去にも実施されています。今回の改正案は最大200万人の加入者増を見込んで検討に入っており、早ければ2021年にも施行されます。保険料負担は労使折半が原則ですから、これに伴い企業側も負担増が見込まれます。

新たに設定される“年収82万円の壁”

 厚生年金の適用拡大は、2016年と2017年にも進められたばかりですが、現在2020年の法案提出に向けて、さらなる適用拡大が検討されています。検討事項の中で注目したいのが、厚生年金加入の月収要件引き下げです。 現在8.8万円以上となっている月収要件が、改正案が通れば2万円引き下げられ、6.8万円以上となります。いわゆる“年収106万円の壁”といわれていた社会保険の壁が、“年収82万円の壁”に変わることになります。
 全国健康保険協会が公表している『平成31年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表』を調べると、仮に月収7万円の従業員がいるとした場合、適用拡大に伴い会社は毎月1人当たり約1万円弱の保険料を負担することになります。多くの労働者が厚生年金に新規加入することになった場合、その費用は莫大な額になるでしょう。

中小企業についても幅広く適用対象に

 また、企業規模に関する要件の引き下げや撤廃も検討されています。現在は常時501人以上の被保険者が勤めている企業(500人以下でも、労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所や、地方公共団体に属する事業所は含む)が厚生年金保険の適用対象とされていますが、要件の引き下げや撤廃がなされると、その適用が中小企業にまで拡大されることになるでしょう。
 適用拡大となると、新規加入の手続き、当該労働者の被扶養者に関する手続き、被保険者の被扶養者削除など、必要な事務手続きも増えます。1人当たりの手続きはそれほど苦にはなりませんが、対象となる労働者が大勢になると、その労務は大きな負担になります。書類の不備にも十分に注意を払わなければなりません。

 2016年に行われた適用拡大では、厚生労働省が予測していた25万人を大幅に超えた37万人が新規に加入しました。今回の改正でも同様に大幅な加入者増が見込まれています。法改正に向けて、一度、自社の状況を確認しておくとよいでしょう。

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