【労務ワンポイントコラム】 4ページ どこまでが労働災害として認められる?事例にみる適用の範囲
勤務中の事故などによって従業員が怪我をした場合、労働災害があったものとして、労働災害補償(労災)が適用されます。では、労災と判断しづらい場合はどうなるでしょうか?
今回は、労災の適用範囲について、事例を交えながら解説します。
労災の対象となるのはどのような場合か
労災の対象となるのは、『業務災害』と『通勤災害』です。
厚生労働省は労災の定義について、『労働者が業務を原因として被った負傷、疾病、または死亡』を指すとしています。
また、通勤災害に関しては
1. 住居と就業場所の間の往復
2. 就業場所から他の就業場所への移動
3. 単身赴任先の住まいと帰省先の住まい間の移動
(合理的な経路と方法により、業務の性質を持たないもの)と定義されています。
労災が認められれば、怪我や病気の療養、またそのための休業中の手当などに対して、労働者災害補償
保険(労災保険)が給付されます。
具体的には、治療代は原則無料。休んでその日の給与が支給されない場合は給与の約80%が休業補償として支給されるなどの給付があります。
労災保険は労働者に対して給付されますが、正社員はもちろんのこと、アルバイトや日雇労働者、派遣
社員や海外に出張している社員にも適用されます。
ただ、代表取締役や監査役などの役職者は労働者ではないとされ、基本的に労災保険の適用はありません。
労災保険の対象範囲については、社内でも正確に理解されていない場合がありますので、この機会に押さえておきましょう。
労災の判別がむずかしいケースと考え方
労災保険を活用するときにネックとなるのは、災害そのものが労災保険の適用対象となるのかどうかの
判断がむずかしい場合です。
たとえば、飲食店の従業員が接客中に客ともめて暴行を受けたような場合は、業務を原因として暴行を
受けたといえるため、業務災害として労災保険の適用対象となります。
しかし、たとえば営業の外回り中にパチンコ店に入り、トラブルに巻き込まれて暴行を受けたというような場合には、先述した厚生労働省の業務災害の要件である『業務を原因として』には当てはまらないとして、労災保険の適用対象とはならない場合があります。いくら勤務時間中であったとしても、業務遂行
中でなければ、対象にはなりません。
通勤災害についてはどうでしょうか。
自宅から会社への通常の通勤ルートで、通常の出退勤の途中で怪我をしてしまった場合は、当然労災の
適用対象となります。また、通勤ルートではなくても、たとえば会社開催の忘年会会場に行く途中で怪我をしてしまった場合、その忘年会の出席が上司からの命令で断れない性質のものであれば、通勤災害と
認められやすくなります。
しかし、たとえば会社を退勤してから個人的な目的で通勤ルートと離れた場所に出かけ、そこで事故に
遭ったり怪我をしてしまった場合は、通勤災害とはいえないと認定されてしまうこともあります。また、
出退勤時に酒に酔って車を運転し事故を起こし怪我をしたなど、本人に明らかな過失がある場合は、保険
の給付は制限されます。
『業務災害』『通勤災害』のいずれについても、労災保険の適用対象となるかどうかを判断するには、業務と関連しているものかどうかが非常に重要になってきます。
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