【労務ワンポイントコラム】 4ページ 海外赴任している従業員に、日本の法律はどこまで適用される?
企業の海外進出が進むなか、従業員が日本から海外へ赴任するケースが増加傾向にあります。海外赴任している従業員に対し、残業や休日出勤などが必要になった場合、日本の法律はどこまで適用されるのでしょうか。国際出向社員についての各種法律について見ていきましょう。
労働基準法の適用を受けない海外事業所勤務
日本国内においては、労働基準法によって労働条件に関する最低基準が定められています。労働基準法は国内法のため、海外支社や支店として独立している事業所は適用外となります。
しかし、国外における業務が独立した事業とみなされないケースでは、労働基準法が適用されますので、国外の事業所が労働基準法に反した場合、国内の事業所が指導対象となる場合があります。また、海外出張は国内の事業の一部とみなされるので、労働基準法が適用されます。
海外で業務にあたり労働基準法が適用されない場合は、日本の事業所、海外の事業所、本人の三者で事前に取り決めを確認し、契約書のサインを交わしておきましょう。
赴任前の条件を保証する契約が必要な場合も
国際的な法律関係において、民事法規としてどの国の法律を準拠法とするかは、原則として当事者の選択によるとされています。
時間外労働の割増率や有給休暇の付与条件などは、現地のルールを適用しても法的な問題はありません。
とはいえ、日本の法律の適用がないからと、給与体系や有給休暇の付与など、何もかも現地のルールに
完全に合わせてしまうのは考えもの。従業員によってはモチベーションの低下につながってしまうことも考えられます。そのため、赴任前の条件を保証する契約を交わすことが一般的です。
労災保険に関しても任意の手続きが必要になる
海外赴任(または海外派遣)においては、病気やケガなど、不測の事態の際の対応を考えておきましょう。
労災保険は本来、国内の事業所で適用される制度なので、海外の事業所で就労する人は、所轄労働基準
監督署を通じて特別加入をしなければ労災保険法の適用を受けることはできません。この場合の海外派遣
とは、海外の関連会社に出向する場合や海外支店への転勤、海外で行う建設工事などが該当します。
会議や商談、市場調査などの目的による海外出張は、国内の労災保険が適用されますので、特別加入の
手続きは必要ありません。
特別加入が必要かどうかは、所轄の労働基準監督署が業務内容や身分関係、賃金の支払い関係、指揮命
令系統などから総合的な判断をすることになります。
海外派遣や海外出張を命ずる場合は、労災保険についても確認するようにしましょう。
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