【労務ワンポイントコラム】 4ページ 従業員の妊娠・出産時に会社が行うべき社会保険に関する手続きとは?
社会保険や雇用保険は、医療費が安くなる、失業手当が出るなど、従業員に万が一のことがあったときの生活を支えるサポートですが、従業員が妊娠・出産したときにもサポートが受けられることを知っていますか? 今回は従業員が妊娠・出産したときに会社が行う手続きを紹介します。
従業員に支給される一時金・手当金・給付
(1)出産育児一時金
出産育児一時金とは、健康保険に加入していれば本人または扶養されている配偶者が受給できる一時金
制度です。内容としては、一人出産するごとに42万円が支給されます。受給する本人が直接一時金を受け
取る『直接支払制度』と、健康保険から直接医療機関に支払う『受け取り代理制度』の2種類を選択できます。退職した従業員であっても出産育児一時金を受給できますが、以下の要件を満たす必要があります。
●健康保険の被保険者期間が『退職するまでに継続して1年以上』であること
●退職日の翌日から6カ月以内の出産であること
また、任意継続の場合や扶養家族としての加入の場合は要件から外れるので注意が必要です。『受け
取り代理制度』を利用する場合、申請手続きは従業員本人が、『直接支払制度』は会社が行います。
(2)出産手当金
健康保険加入者が対象です。産前産後の休業中、給与が支給されない場合に、給与額の概ね2/3がその
補填として支給されます。対象期間は、産前産後の休業期間は、最大で産前42日(多胎妊娠の場合は98
日)、産後56日です。会社が申請手続きを行います。
(3)育児休業給付
原則生後1歳までの子どもを養育するために育児休業を取得した人が対象です。しかし、保育園に入所
できないなどの理由があれば最長子が2歳に達するまで育児休業給付が受給できます。
育児休業給付は雇用保険から支給されます。受給要件は育児休業の開始日前2年間に賃金支払基礎日
数が11日以上ある月(完全月)が12カ月以上あること。妊娠や出産を機に、または休業中に退職した場合は支給されません。申請手続きは事業主が行います。
従業員に対して会社が行うべき手続きとは?
一時金・手当金・給付の理解に加え、会社は社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)の免除手続きも行う必要があります。これは産前産後の休業期間及び育児休業期間は社会保険料を徴収しなくてよいとする手続きです。社会保険料の免除は従業員だけでなく会社も対象になりますので、重要な手続きです。この手続きは、産前産後休業期間中に事業主が行わなければなりません。
社会保険料が免除になると従業員から「将来受け取る年金額が減額するのでは?」という質問を受ける
かもしれません。しかし、納付記録は残るため、年金の受取額に免除が影響することはありません。安心するように伝えましょう。
また、出産後子どもが従業員の健康保険の扶養家族になる場合は、扶養に加入する手続きを行わなければなりません。こちらも事業主が行います。扶養手続きの要件として、子どもと被保険者は同一世帯で生計を一にしている必要があります。
従業員が安心してサポートを受けることができるように、手続きやスケジュールの説明を忘れないように行いましょう。
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