【経営トピックス】 1ページ 多くの企業が導入している『中小企業退職金共済制度』とは
企業にとっては人材募集の際のアピールポイントになり、従業員にとっては退職後の生活の安心につながる『退職金制度』。とはいえ中小企業が自社で制度を設けるのは簡単ではありません。
今回は、そんな企業が活用できる『中小企業退職金共済制度』を紹介します。
国によるサポートを受けられる中小企業退職金共済制度
東京都産業労働局が発表している『中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)』によると、東京都内
の中小企業(有効回答数1,060社)のうち退職金制度を導入している企業は71.3%でした。また、導入している退職一時金制度については、退職金制度を自社で整備している企業が64.4%、次いで『中小企業退職金共済制度』を活用している企業が48.5%。このほかに『退職金保険』(10.7%)、『特定退職金共済制度』(5.9%)を活用している企業も見られました(複数回答)。
この調査において約半数の中小企業が加入していた『中小企業退職金共済制度』は、自社で退職金制度を設けることが困難な中小企業のためにつくられた、国の退職金制度です。条件を満たしている中小企業
であれば加入でき、さまざまなメリットが得られます。
その仕組みは、企業が共済を利用して退職金を積み立てるというもの。事業主と独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が契約を結べば、あとは退職者に直接退職金が支払われます。企業は掛金を支払う必要がありますが、退職金の管理をする必要はなく、従業員から法外な退職金を請求されるなどのトラブルに巻き込まれるおそれもありません。これは大きなメリットです。
また、掛金は法人企業の場合は損金、個人企業の場合は必要経費として全額非課税となることもメリットの一つです(ただし、資本金の額または出資の総額が1億円を超える法人の法人事業税には外形標準課税が適用)。
このほか、加入後24カ月を過ぎると掛金の100%以上が支給となるため、元金割れする期間は短くて済みます。会社が倒産しても支給されるため、従業員は会社の業績に左右されることなく退職金を受け取
れるということもポイントで、利用価値が高い制度といえます。
自社独自の退職金制度と共済を使い分ける方法も
メリットの多い『中小企業退職金共済制度』ですが、もちろんデメリットもあります。大きなデメリットといえるのが、12カ月未満で社員が退職した場合には退職金が支払われないだけでなく、掛金も返ってこないところです。また、24カ月未満で従業員が退職した場合も、元金割れとなるため、あまりメリットがありません。離職率が高く、短期で人材が動いてしまうような業種は、自社で退職金制度を整備するほうがメリットが大きい可能性があります。
このほかにも、掛金を減額したい場合に手続きに手間がかかる、死亡退職金の額が低いなどのデメリットもあります。もし、貢献度が高い社員に多くの退職金を出したい、死亡退職金を支給したいと考えるのであれば、自社の退職金制度と併用するのも一つの方法です。
退職金制度の導入は、従業員の満足度やモチベーションアップにもつながります。手軽に始められる
『中小企業退職金共済制度』を含め、自社に合う形での導入を一度検討してみてはいかがでしょうか。
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