【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ 新規事業を始めるときに知っておきたい有限責任・無限責任の違い

現在、設立できる会社の形態としては四つあります。事業をスタートするときは、この四つの会社の形態
が『有限責任』と『無限責任』のどちらなのかを押さえておかないと、万が一の場合、後悔することになりかねません。そこで、有限責任・無限責任の違い、デメリットやメリットを押さえておくようにしましょう。

有限責任と無限責任の違いとは?

 まずは法人のなかでも一般的な株式会社を例にとって説明してみましょう。株式会社を設立するときに
は出資者が金銭を支出し、株式を取得して株式会社の社員になります。もし株式会社が負債を負ったとしても、出資者は出資した額を超える責任を負うことはありません。
 このように、『出資額を上限としてしか責任を負わない』という制度のことを有限責任といいます。万が一、株式会社が1億円の負債を抱えてしまったとしても、100万円しか出資していない人は、その出資金以外に責任を負うことはありません。
 一方、債務の弁済まで責任を免れない制度を無限責任といいます。通常、お金を借りる場合には、無限
責任を負っています。そのため、個人事業主は、無限責任を負っていることになります。

 会社の形態によって社員が有限責任になるのか無限責任になるのかが決まっています。

●株式会社・合同会社
 有限責任。そのため、出資額を超える会社の負債については融資を行った銀行などが負うことになります。しかし、それでは銀行のリスクが高すぎるため、現実的には株式会社・合同会社の代表取締役が連帯保証人として個人保証をしているケースがほとんどです。要するに、有限責任であったとしても、代表取締役は連帯保証という無限責任を負っているのです。

●合名会社
 社員全員が無限責任社員になります。

●合資会社
 社員のなかに、無限責任社員と有限責任社員が混在しています。

全員無限責任でも合名会社を選ぶメリットとは?

 責任が重いというデメリットのある無限責任。特に合名会社は構成員全員が無限責任です。にもかかわ
らず、あえて合名会社を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。
 合名会社のメリットは、社会保険に加入できること、設立時にコストがかからないことがあげられます。設立にかかる費用は登録免許税と定款印紙代の10万円のみで、株式会社を設立するよりもはるかに安く済みます。
 構成員は全て無限責任社員となりますが、いわば個人事業主が集まって組織を作っているとイメージするとわかりやすいかもしれません。組織に対して全員が経営にかかわることができる点にメリットを感じる人には合名会社は適しているといえそうです。
 逆に一般的な『会社』という組織を作りたい人は、合名会社を選ぶよりも株式会社や合同会社の方が適
しているといえるでしょう。

 新規事業を始めるにあたっては、組織を法人化するのか個人事業で行うのかなどを決める必要があります。さらに法人化する場合には、有限責任と無限責任の違いを踏まえて、事業の内容や構成員の資質に合わせてどのような形態にするかを考えましょう。

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