【税務・会計2分セミナー】 3ページ  税務会計の落とし穴に注意!企業会計と税務会計の違いとは?

『巨額の利益を出しながら2018年の法人税はゼロ』というソフトバンクグループのニュースが話題になりました。こうした事態は『企業会計』と『税務会計』で導き出される数値が異なるために起きます。そこで今回は、それぞれの会計の基礎知識について解説します。

目的から大きく異なる企業会計と税務会計

 会社で使われる会計には、大きく分けて企業会計と税務会計という2つの種類があります。それぞれの
特徴をみていきましょう。

●企業会計
 企業会計とは、企業が株主などの利害関係者に対して財務状況や経営状況などを報告することを目的とする会計制度です。企業会計はさらに管理会計と財務会計に分かれます。
 主な特徴としては、現金の収支のタイミングではなく取引が発生したときに会計が生じる発生主義であること、ストック(資産や負債)という概念があることです。また、会計年度内での会計を行うため、未決済の経費や売上であっても、会計年度内に発生している場合は基本的に計上します。一方、赤字の繰り延べなどは行われません。

●税務会計
 税務会計とは、法人税などの税金額を算出することを目的とした会計です。企業会計が最終的に利益を算出するのに対し、税務会計で求めるのは課税所得になります。算出される課税所得が小さくなれば国としては徴収できる税金が減ることになるため、損金計上にはさまざまな制約があります。その一例としては、交際費があげられるでしょう。
 また、使われる用語にも違いがあります。企業会計では『収益』『費用』『利益』という用語が使われるのに対し、税務会計では『益金』『損金』『課税所得』という用語が使用されます。
 このように、目的から大きく異なる企業会計と税務会計。経営者が自社の経営状況を把握するためには、これらの会計の違いを把握しておくことが重要です。

税務会計だけで経営状況を把握することの危険性

 中小企業では、税務会計に重きを置く傾向があります。なぜなら、多くの中小企業は非公開株式会社で、株主は経営者自身や経営者の親族であり、株主に対して企業の経営状況を報告する重要性が上場企業
に比べて高くないからです。しかし、これでは税務会計だけで経営状況を把握することになりかねず、危険でもあります。
 先述したように企業会計と税務会計は違うものです。企業会計上で費用になるものが税務会計上では損金として計上できないこともありますし、税務会計では赤字の繰り延べが可能ですが、企業会計上では赤字を繰り延べるという概念はありません。その結果、導き出される数値に大きな違いが出てきます。
 そのため、税務会計だけでなく企業会計と合わせて財務状況を把握するほうが経営管理上、有意義なはずです。

 さらに、税務会計は法人税などの税金を計算するために使うものであるため、課税所得額を抑えること
にフォーカスしやすい面があります。企業の多くは税金を低く抑えたいと考えるため、益金を少なく、損金は多く計上となるような節税対策をとることもあるでしょう。その極端な例が、法人税を払わずに済むようにと赤字決算をするケースです。
 しかしそうすると、単純に売上に対して経費が大きく見えるため、仮に金融機関から融資を受けたいと
なった場合に、経営状況の良好性をアピールすることがむずかしくなります。融資を受けられなくなる可能性すら出てきてしまいます。

 経営判断において重要となる会計情報。中小企業の多くが税務会計に目を向けがちですが、企業会計も意識して経営判断を行いたいところです。

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