【社長が知っておきたい法務講座】 5ページ トラブルを予防するビジネス契約のいろは

ビジネスにおいて契約を交わすことは不可欠ですが、契約には双方が単純に約束ごとを決めるだけではなく、将来起こるかもしれないトラブルを予防するという目的もあります。そこで今回は、トラブル予防のための契約に対する基本的な考え方を紹介します。

契約自由の原則と契約書に書くべき内容とは?

 まず知っておきたいのが『契約自由の原則』です。これは、一方的に不利な契約を強制されない自由、契約内容を当事者同士で決められる自由などのことです。
 ただし、麻薬の売買契約などは『公序良俗に反する』として、当事者同士が合意しても無効です。
 次に、契約書の形式に関しては『最低限決めておかなければトラブルになりかねない』と思われる以下の基本的な条項は、ほぼ共通しています。

●契約内容
 たとえば、『A社から甲という建物をB社が買うことについて契約する』などがそれにあたります。

●契約期間・効力発生日
 1年ごとの自動更新であれば、いつからいつまでを1年と定めるのかを明らかにします。また、契約書の最後に記載する契約締結日と効力発生日が異なる場合は、契約書に効力発生日を明記します。

●報酬対価
 売買契約の場合は売買の対象となるものとその対価、請負契約であれば報酬額、雇用契約であれば給与額などが報酬対価に該当します。金額を記載するときには、税込価格なのか税抜価格なのかなど、複数の解釈が生じないように明記します。

●禁止行為
 行ってほしくない行為を明文化して禁止します。

●契約解除
 契約を継続することがむずかしい場合に備えて、一定の条件下で契約を解除できるようにしておきます。

●合意管轄
 裁判になり、民事訴訟法で決められた第一審の裁判所が遠くの地域になった場合、コストがかかる可能性があります。そこで、できるだけ近くの裁判所で裁判ができるように合意管轄を定めておきます。

契約書を作成するときに注意したい点とは?

 契約書を作成する際に、注意するべき点を紹介します。
●ひな形をそのまま使わない
 ひな形は、必要箇所だけを書き換えればそのまま使うことができるため、非常に便利です。しかし、不特定多数の人が利用しやすいように作られているため、書かれている条項だけではカバーしきれないことが多くあるのです。 
 また、必要のない条項が入っていることもあるため、ひな形はあくまでも参考程度にとどめ、個別の契約に合わせて作成することがポイントです。

●できるだけ具体的に明記する
 契約を結ぶために話し合い、合意した内容については、できるだけ具体的に契約書に落とし込むことが大切です。

 仮に『甲は、乙の作製したAという製品に不備があった場合は修正を依頼することができる』という条項があった場合、『不備』がどこまでのレベルのものを指すのか、修正依頼は何回までできるのかがその一文だけではわかりません。実際にトラブルになったときに揉めないためにも、細部まで取り決めて文字で残すようにします。
 契約書には最低限記載するべき内容と、作成の際、注意したい点があります。トラブルが発生しないよ
うに、以上の基本を押さえておきましょう。

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