【労務ワンポイントコラム】 4ページ 会社が倒産した場合、社員への給料はどうなる?
新型コロナウイルスによる影響で経営不振や債務超過となり、やむなく会社倒産を選択しなければならない企業が今後さらに増えることが予想されます。会社が債務超過で従業員に給料を支払えない場合の対処法、あわせて従業員に伝えたい公的な支援制度について紹介します。
解雇通知のタイミングと予告手当が必要になる場合とは?
債務超過などで会社の資金繰りが困難になり、これ以上は事業を継続し続けることが不可能な状況になったとき、会社は『破産法』という法律に基づいて破産手続を行うことになります。
破産手続に入ると裁判所から『破産管財人』が選任され、会社の財産はすべて破産管財人の管理下に置かれることになります。破産管財人は不動産を換金したり、債権者に配当を行ったりして会社を清算して
いくのです。
また、雇用している従業員がいる場合は解雇することになります。このとき、従業員には『解雇通知』を出しますが、破産申立日のタイミングに行うのが一般的です。
では、なぜ破産申立日に解雇を伝えることが一般的なのでしょうか。人件費は固定費のなかでもかなり
大きな割合を占めますし、次に説明する解雇予告手当のことを考えると、早めに解雇通知をしたほうがよいようにも思えます。
しかし、破産手続をする前に従業員に解雇通知を行うと、社内に混乱を招くことが予想されます。また、倒産することが取引先などに漏れる恐れもあります。
これらのことを考えると、破産申立日のタイミングに解雇を伝えるのがよいといえるでしょう。
ただし、通常従業員を解雇するときには、労働基準法によって『少なくとも解雇する30日前までには解雇予告をしなければならない』と定められています。
そのため、破産申立日に解雇通知をすると、倒産間際になってしまう恐れがあります。もし解雇予告が30日を切ってしまった場合には、その不足日数分の解雇予告手当を従業員に支払わなければなりません。これは正社員だけでなく、アルバイトやパートでも無期雇用であれば適用されます。
従業員に伝えたい二つの制度とは?
会社が倒産した際、従業員の生活を守るために二つの制度があることを知らせるようにしましょう。
●未払賃金立替払制度
従業員に未払賃金がある場合、従業員は『未払賃金立替払制度』という国の制度を利用することができます。
ただし、以下の要件があります。
・労災保険の適用事業所であり、1年以上事業活動を行っていること
・上記の企業または個人事業主に労働者として雇用され、倒産に伴って退職したこと
・未払賃金の残高が2万円以上あること
●失業保険(雇用保険「求職者給付」)
単に自己都合で離職した場合でも利用できる失業保険。自己都合となると1週間の待機期間後にさらに
給付制限期間が3カ月ありますが、倒産や事業所の廃止によって離職した場合は会社都合となるため、この給付制限期間がありません。倒産を理由とした失業保険の被保険者となる要件は以下の通りです。
・会社が倒産したことによって離職したこと
・離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること
会社が倒産するときには多額の債務を負っていることも珍しくありません。そのため、従業員に未払給与が発生することもあります。また、解雇通知のタイミングによっては解雇予告手当が必要になることも。
新型コロナウイルスによる影響は今後さらに広がる可能性があります。もしものときに備えて、公的な支援制度も踏まえた対応方法を従業員に伝えるようにしましょう。
新着情報・セミナー情報
-
セミナー情報
-
お知らせ
-
お知らせ
-
お知らせ
-
セミナー情報